魯迅「白光」
あらすじ…県試にまたも落ちた陳士成は、呆然と家に帰る。夜、陳家の埋蔵金の話を思い出し、白光に導かれるように発掘作業に取りかかる。
この陳士成は子供たちに学問を教えているし、「おんぼろ屋敷」(P168)を人に貸しているほどだから、孔乙己(P32-38)ほど落ちぶれてはいないものの、家族もいないところをみるとやはりそれなりに落ちぶれています。
その上彼は「白髪まじりの短い髪」(P167)の持ち主であることから老境に差しかかっており、しかも県試に落ちた回数は「十六回」(P169)。つまりそれだけ齢を重ねても鳴かず飛ばずという状態です。
そんなわけで精神的に追い詰められて、しかも夕食を摂っていないから正常な判断ができなくなっていたんでしょうね。
【参考文献】
魯迅『阿Q正伝・狂人日記 他十二篇』岩波書店
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