冬のライオン(1968年、アメリカ)
監督:アンソニー・ハーヴィー
出演:ピーター・オトゥール、キャサリン・ヘプバーン、アンソニー・ホプキンス、ティモシー・ダルトン、ジョン・キャッスル
原題:The Lion in Winter
備考:デジタルリマスター
あらすじ…1183年のクリスマスに、イギリス国王ヘンリー2世は、幽閉中の妃エレノア、息子たち、フランス王フィリップ2世をシノン城に呼び集めた。
やけにセリフが多く、どいつもこいつも語りまくっているなと思っていたら、元は舞台演劇だと知って納得しました。映画だと表情の変化やちょっとした仕種で色々と表現できますが、舞台となると後ろの席に座っている観客にもわかるように一々セリフにしなければなりません。
一つ例を挙げるとすると、エレノア(キャサリン・ヘプバーン)が部屋に一人で居て、鏡を見ながらブツブツ独り言をつぶやくシーンがあります。常識的に考えて独り言をする時の声の大きさではなく、自分の心情を誰か(ぶっちゃけて言えば観客)に聞かせるためにわざわざ言ってるとしか思えません。
一回観たきりなのでセリフの詳細は忘れましたが、自分はまだまだ美しい、ヘンリーをギャフンと言わせてやる、そんな意味のようなことを言っていたように記憶しています(間違っていたらゴメンナサイ)。
そこで、もしもそのシーンをセリフ無しで表現するとしたら、鏡を見る→顔のシワ・シミをチェックする→疲れた、物悲しい表情でため息をつく→目をつぶってかぶりを振る→毅然とした態度で見据える→化粧をする、といったところでしょうか。
最後に注意点を少々。作品内では権謀術数が渦巻き、登場人物たちの会話の中に欺瞞、嫉妬、偽善、怨念など人間の心の醜いドロドロしたものが厭でも目につきます。舞台はクリスマスですが全く祝う気にはなれず、寧ろ地獄に居るような苦しさを感じます。又、形勢が目まぐるしく変わるので、うっかり気を抜くと展開について行くことができなくなるかもしれません。
« H・P・ラヴクラフト「北極星」 | トップページ | K-20 怪人二十面相・伝(2008年、日本) »
「1960年代映画」カテゴリの記事
- なまいきチョルベンと水夫さん(1964年、スウェーデン)(2023.12.29)
- 親鸞(1960年、日本)(2023.12.17)
- ひばり・チエミの弥次喜多道中(1962年、日本)(2023.06.27)
- 荒野のガンマン(1961年、アメリカ)(2023.05.13)
- 逆襲天の橋立(1961年、日本)(2022.11.03)
コメント