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久生十蘭「玉取物語」

あらすじ…ある時、殿様の右の金玉が徐々に大きくなる。江戸の蘭方医たちが集まって、問題の金玉を切り取る手術をする。

 医者たちが集まって、どうやって手術を成功させるか苦心惨憺する有様はちょっとプロジェクトXっぽくなっているんですが、それ以外ではブラックユーモアがあったりします。
 例えば「殿のふぐり玉に殉死をねがうものが出てきた」(P115)では、その時点では殿様は死んでいないし、そのつもりもない(死ぬかもしれないという不安はあったにせよ)。しかも、この頃(作品の冒頭に嘉永とある)は殉死が禁止されていたはずなので、殉死願いなんか出しても認められるわけがない。
 又、手術を渋る奥方に対して、医者が万葉集の歌を曲解して騙してしまう手口なんかを読むと、ははあ、ものは言いようだなと思ったりします。
 ちなみに件の歌は万葉集にちゃんとあります。

 伊勢海之 白水郎之嶋津我 鮑玉 取而後毛可 恋之将繁(巻第七、1322番歌)

【参考文献】
久生十蘭『湖畔/ハムレット』講談社
森山隆・鶴久編『萬葉集』おうふう

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