デヴィッド・ニコル『エル・シッドとレコンキスタ 1050-1492 キリスト教とイスラム教の相克』新紀元社
まず最初に、知らない人のためにエル・シッドとレコンキスタについて簡単に説明しておきます。レコンキスタ(Reconquista)とは、イスラム教諸国に奪われたイベリア半島を、キリスト教国家が再奪還しようとする運動です。そしてエル・シッド(El Cid)はレコンキスタ初期の英雄で、本書の表紙の中央に立っているのがエル・シッドです(彩色画:アンガス・マックブライド)。
さて、次に本書の記述内容ですが、教科書的な素っ気なさを感じさせるもので、正直言って読んでいてワクワクドキドキ感は得られませんでした。例としてちょっと引用してみます。
最南部のバレンシア周辺には、1260年代のムスリム反乱まで小さなキリスト教徒の入植地があった。南フランスにおけるアラゴン・カタルニャの敗北(アルビジョア十字軍)とミュレーにおけるペドロ国王の戦死は、すでにさまざまな問題をかかえていた王権にとって深刻な打撃となった。(P19)
おわかりいただけたでしょうか?
とはいえ、最後に評価できる点も挙げておくと、軍事組織や装備品の記述がしっかりしているということです。
又、軍事面の知識がなくても、P25-32のイラスト群を眺めるだけでも楽しめます。
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