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仲村真一郎「砕かれた夢」

あらすじ…大久保長安、大久保忠隣、カトリック大名、宣教師フライ・ルイス・ソテロ、伊達政宗らは、それぞれの思惑から徳川家康の六男・忠輝を次期将軍にしようと画策し、忠輝もそれに乗り気だった。だが、徳川家康はその「夢」を打ち砕く。

 まず最初に、初歩的なミスを指摘しておきます。まずは以下の引用文をお読みください。

 彼は父から譲られるのを待たずに、父から奪うかもしれない。丁度、武田信玄がその父に対してやったように。あるいは斉藤竜興がその父に対してやったように。(P105)

 斉藤竜興じゃなくてその父の斎藤義龍ですね。武田信玄は父・信虎を追放し、斎藤義龍は父・斎藤道三を殺しているのですから。

 それはさておき、この夢は砕かれて正解だったような気がします。そもそも忠輝にとってその夢の内容は「西欧諸国に伍して、世界の進展のために奮闘すること」(P124)であり、要するに海外に出征して植民地を獲得し、西欧諸国と戦争をするということです。
 そんなことをしていたら、豊臣秀吉の唐入りのように失敗して政権が瓦解するか、あるいは成功しても海外の領地維持のために軍事動員が重なって国が疲弊するかしていたでしょう。無論、天下泰平なんか夢のまた夢ですな。

【参考文献】
新潮社編『歴史小説の世紀 地の巻』新潮社

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