阿川弘之「野藤」
徳川家の鷹匠・小林正之丞とその鷹・野藤の物語。
時代劇で鷹匠というと権威を笠に着て悪事を働くというケースが多いのですが、小林もそんな悪党の一人。悪事のせいで最後は「御役御免」(P153)になるほどです。
ただ、「人から上手に意地悪をされた事」(P156)といったエピソードを挟むなど、ややユーモラスなところがあります。それが作品の毒気を幾分か抜いているような気がしないでもない。
【参考文献】
新潮社編『歴史小説の世紀 地の巻』新潮社
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