日貫瑞穂「バラード」
あらすじ…女遊びが絶えない男・和美はある日、喫茶店でまゆみという足が不自由な女と出会い、なぜか気になる。
最初に思ったのは、和美って男なんだなということです。女性のような名前だったのでついOLだろうかとイメージしていたのですが、読み進めてみると上半身裸で踊ったり(P8)背広に着替えたり(P11)と、和美が男性であることを示す描写にぶつかったので、私の脳内でこの人物が「性転換」しました。
作者はわざとこんな女性っぽい名前にしたのでしょうか? だとしたら、この仕掛けが少なくとも私の頭脳に少々の混乱を与えたことは認めてもいいでしょう。まあ、このレビューではあらすじの段階でちゃんと男性だって書いておきましたから、この記事を読んでから「バラード」を読む人には通用しないんですけどね。
あともう一つ気付いたことは、句読点が多すぎるということです。ためしにちょっと引用してみましょう。
「まゆみちゃん、今、何かしたいこととか、欲しいものとか、僕にしてもらいたいこととか、ない? 何か、できることがあったら、してあげたいと、思ってる」(P21)
上記の引用は会話文ですが、それ以外でもこの調子です。『日貫瑞穂短編集』の他の収録作品を軽くチェックしてみると、同様に句読点が多い。どうやらこれが日貫瑞穂の作風のようです。
【参考文献】
日貫瑞穂『日貫瑞穂短編集』彩図社
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