森鴎外「心中」
あらすじ…料亭に勤めるお金(きん)が、客に心中事件を語る。
一旦読み終えてから、レビューを書くためにちょっと読み返してみると、最初の方に「ひゅうひゅうと云うのだろう」(P105)というセリフを見つけました。
この作品のタイトルは「心中」ですので、心中事件を扱ったものだとわかりますし、お金が語る内容も「ははあ、心中事件だな」とすぐに察しがついてしまいます。
それならいっそのこと、タイトルを「心中」から「ひゅうひゅう」にしてみてはいかがでしょうか? そうすれば、すぐには心中事件と察知されず、ひゅうひゅうという音の劇的効果が際立ち、怪奇性を増すというものです。
とはいえ、江戸川乱歩ならともかく森鴎外にはそんな怪奇趣味はないか。
【参考文献】
森鴎外『灰燼/かのように 森鴎外全集3』筑摩書房
« 監修・財団法人日本城郭協会『図説 日本100名城の歩き方』河出書房新社 | トップページ | 森鴎外「流行」 »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- マーク・トウェイン「名探偵誕生」(2023.09.07)
- W・ハイデンフェルト「<引立て役倶楽部>の不快な事件」(2023.09.06)
- アンソニイ・バウチャー「テルト最大の偉人」(2023.09.05)
- オーガスト・ダーレス「怯える准男爵」(2023.09.04)
- アガサ・クリスティー「消えた貴婦人」(2023.09.03)
コメント