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ウィリアム・サンソム「届かない花束」

あらすじ…シールという男が、,庭の花を摘んで向かいのフラットに住むミス・Dに届けようと思い立つが、途中で思いとどまる。

 「シールはミス・Dに愛情などいだいていたわけではない」(P130)のに、どうして花束を贈ろうとしたのかというと、「たまたま」(P130)だそうで、要するに誰でもよかったわけですな。
 誰かとこの喜びを分かち合いたい。わっほう。そんな感じだったんじゃないかと想像します。
 でも、シールはそのまま突っ走ったりはせずに途中で我に返り、花束を贈るのを思いとどまります。たしかに、たいして親しくもない男からいきなり、「安っぽい花ばかり」(P131)の花束を贈られて、しかもなぜ自分なのかというと「たまたま」と来た日には女の方も困惑するでしょうな。

【参考文献】
小野寺健編訳『20世紀イギリス短編選(上)』岩波書店

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