谷崎潤一郎「小野篁妹に恋する事」
あらすじ…小野篁は異母妹の家庭教師をしているうちに彼女に恋をし、あまつさえ妊娠させてしまう。妹の母親が感付いて彼女を監禁するが、妹は悶死してしまう。そして、彼女は幽霊となって篁のもとへ通うようになる。
この作品は『篁日記』を元に書いたとありますが、インターネットで少々調べたところ『篁物語』という呼称の方が一般的なようです。
さて、当然のことながら異母妹と肉体関係を持つことは近親相姦というタブーを犯すことであり、してはならないことです。であるからこそ小野篁といえども関係を公にすることはできませんでした(後に舅の右大臣と妻の姫君には告白している)。
聖徳太子の時代ならば異母兄妹が結ばれることは有り得ました(例えば聖徳太子の両親・用明天皇と穴穂部皇女は異母兄妹です)が、平安時代には許されないことになっていたわけですな。
【参考文献】
新潮社編『歴史小説の世紀 天の巻』新潮社
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