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『わかる新エネ わたしたちの未来のために』資源エネルギー庁

 新エネルギーとは、「太陽光発電や風力発電などのように、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、エネルギー源の多様化に貢献するエネルギー」(P1)であり、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」では中小水力発電、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、地熱発電、太陽熱発電、雪氷熱利用、バイオマス熱利用、温度差熱利用、バイオマス燃料製造の10種類が指定されています。
 …ん? バイオマス発電・バイオマス熱利用・バイオマス燃料製造と、バイオマスが3つ出てきてるけど、違いは何なの? パンフレットをチェックしてみると、バイオマス発電とバイオマス熱利用が同じページ(P9-10)でまとめて紹介されていて、その説明によるとどうやらバイオマス(生物資源)で電気を作ったらバイオマス発電、バイオマスの熱で何かをあたためたらバイオマス熱利用になるようです。
 それから、バイオマス燃料製造(P21-22)はバイオマス(生物資源)から木材ペレットやエタノール、BDFといった燃料を作り出すことだそうです。

Wakaru

http://www.enecho.meti.go.jp/

山本弘「アリスへの決別」

あらすじ…ドジスン先生が少女アリス(12歳)の裸を撮影して留置所にブチ込まれる。

 児童ポルノ規制に対する反論を、アリスの口を借りて語らせています。もちろん「非実在青少年」についても述べています。
 その会話の内容を読んで、
「これが12歳の女の子の言うことか!?」
 と思う人もいるかもしれませんが、物語の中でアリス自体が非実在青少年だと最後に明かされるので問題なし。非実在青少年なら魔法少女に変身したり超人的な戦闘力で宇宙人を倒したりできるのですから、素っ裸になったり意見を開陳したりするくらいどうってことはない。

【参考文献】
大森望・日下三蔵[編]『年刊日本SF傑作選 結晶銀河』創元社

円城塔「エデン逆行」

 これといった物語があるわけではなく、時計の町と語り手の「私」と『シェルピンスキー=マズルキーウィチ辞典』について述べたもの。何を言ってるのかわからないと思うかもしれませんが、ご安心あれ、私もよくわからない。そういう風に作ってあるのでしょう。
 ただ、わかることといえば、語り手の「私」が女性であるということです。

【参考文献】
大森望・日下三蔵[編]『年刊日本SF傑作選 結晶銀河』創元社

中島敦「牛人」

あらすじ…魯の叔孫豹には傴僂の息子・豎牛がいて、豎牛は叔孫豹の秘書兼執事として働いていた。だが、豎牛は奸策を巡らせて叔孫豹の子で後嗣の孟丙を殺し、その弟・仲壬を追放。更には叔孫豹を餓死させる。

 本作の典拠はどこだろうかと気になってインターネットで調べてみたら、豎牛の話は『韓非子』第30篇 内儲説篇上七術 第7話、『春秋左氏伝』昭公四年の記事に出てくることがわかりました。う~ん、『韓非子』と『春秋左氏伝』かあ…、どちらかといえば『韓非子』の方が入手しやすいかもしれませんな。

 叔孫は骨の髄まで凍る思いがした。己を殺そうとする一人の男に対する恐怖ではない。むしろ、世界のきびしい悪意といったようなものへの、遜った懼れに近い。もはや先刻までの怒は運命的な畏怖感に圧倒されてしまった。今はこの男に刃向おうとする気も失せたのである。(P299)

 なんという絶望感。「運命的」とあることから、この事態は避けられないものと叔孫豹は感じていたようです。この時点では手遅れですが、実際にはリスクマネジメントや情報のクロスチェックなど、やるべきことをきちんとやっていれば未然に防止できたかもしれません。しかし、病み衰えた彼の頭ではそこまで思い至らなかったのでしょう。

【参考文献】
中島敦『中国小説集』ランダムハウス講談社

小川一水「アリスマ王の愛した魔物」

あらすじ…小国の王子で算術マニアの王子アリスマが、算廠なる施設を建てて敵国の侵攻を退け、更に王位について各国を併呑する。

 タイトルの「アリスマ王の愛した魔物」とは、彼につき従う謎の美しい従者のことで、男か女かわからないとのこと。

 それはさておき、今回は本作に登場する「算廠」について少々述べてみたいと思います。

 算廠は計算の殿堂でした。アリスマ王子の下問に応えて、数字を返す機関でした。(P43)

 その中に数多くの人間が入って計算するから、言うなれば人間コンピューターでシミュレーションするといったところでしょうか。物語の舞台はファンタジーの世界だから、電子計算機などというハイカラなものがないかわりに人間が複雑な計算をやってしまうようです。
 でも、計算ミスで致命的な失敗をやらかさなかったとはなあ…。バタフライ効果やカオス理論を考慮すると、どこかで大ポカしていそうなものです。

【参考文献】
大森望・日下三蔵[編]『年刊日本SF傑作選 結晶銀河』創元社

江戸川乱歩「怪人と少年探偵」

あらすじ…デパートで、人形に化けた泥棒が宝石を盗む事件が発生。その三日後、井上一郎とポケット小僧が少女誘拐の現場を目撃する。

 犯人は例によって例のごとくなのですが、明智小五郎が犯人の正体を言い当てた後、

 それを聞くと、へやの中は、シーンとしずまりかえってしまいました。野村さんも、小林少年もあっけにとられて、身うごきもせず、明知探偵の顔を、みつめているのです。(P192)

 とあります。しかし、誘拐された少女の父親である野村さんはともかくとして、小林少年はとっくに気付いていなくてはならないはずです。変装の名人で、しかも子供相手に恐ろしい仕掛けを繰り出す泥棒となると、小林少年もよく知っているアイツしかしませんからねえ。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第23巻 怪人と少年探偵』光文社

江戸川乱歩「おれは二十面相だ!!」

あらすじ…ある日、明知探偵事務所に古代研究所所長の松波博士が訪れる。曰く、大学生が部屋から消えてしまった、と。

 タイトルでいきなり犯人の名前を明かしちゃってくれています。とはいえ、二十面相は変装の名人ですので、二十面相がだれになりすましているのかを推理する余地は残っています。

 それはさておき、今回の事件は、「鉄人Qがつかまってから、ひと月ほどたったある日のこと」(P13)と冒頭にあるように、間隔が短い。脱獄しどこかに潜伏して、更に仲間を集めて作戦を練り、諸々の準備をして…と、目が回るような忙しさだったのではないでしょうか。毎度おなじみの珍妙なコスプレを今回は用意しなかったので、その分は時間を節約できたのでしょうが、それでも大変だったんじゃないでしょうか。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第23巻 怪人と少年探偵』光文社

秦野啓・著、添田一平・画『秘密結社』新紀元社

 フリーメーソンやKKK、薔薇十字友愛団、白蓮教、ヴードゥー、テンプル騎士団などの秘密結社を取り上げています。日本からは真言立川流(P179)がエントリー。
 なお、本書では「フリーメーソンリー=ユダヤの謀略機関」説を否定したりと、陰謀史観好きのビリーバーには厳しい内容となっています。とはいえ、例えばアレイスター・クロウリーについて述べたくだりで、

 クロウリーが<ミステリア・ミスティア・マキシマ>で活動したのは1916年までの4年間であった。1912年から1914年までは散漫な性魔術実験のみだったという。しかし、1914年の1月から2月にかけておこなった性魔術儀式ではユピテルとメルクリウスの召喚に成功するなど、一応の成果を残している。(P218)

 などと、一定の評価をしていたりするので、「こんなもん全部インチキだ!」とのたまう否定論者とはスタンスが異なっています。

【参考文献】
秦野啓・著、添田一平・画『秘密結社』新紀元社

ジェイアクト『東京 安くておいしい! 食べ放題・バイキングはここだ!』メイツ出版

 東京都内のリーズナブルな価格帯の食べ放題(バイキング、ビュッフェ)を紹介。
 P76-77の「Dina Gyang(ディナギャン)」には行ったことがあります。最寄り駅はJR水道橋駅となっていますが、神保町からも行くことができます(ちょっと歩くけど)。
 以前、午前中に神保町で古本漁りをし、昼にディナギャンでたらふく食べ、ふたたび歩いて神保町へ…と思ったのですが、そこまでいきませんでした。午前中に体力を使いすぎたのとバイキングで食べ過ぎて動けなくなってしまったからです。
 ああ、味ですか。お手ごろな価格にふさわしい味でした。それと、コーヒーも飲めるのは個人的には嬉しいですな。

【参考文献】
ジェイアクト『東京 安くておいしい! 食べ放題・バイキングはここだ!』メイツ出版

ジャック・リッチー「エミリーがいない」

あらすじ…アルバートの妻エミリーが姿を消した。エミリーのいとこのミリセントはそれを怪しむ。又、アルバートの周辺にエミリーの影がちらつき始める。

 ネタバレになるので詳細は伏せますが、我々読者がミステリを読む場合、そこに何らかの(多くの場合は殺人)事件を期待しています。しかしこの短篇作品はある意味でそれを裏切るという形でドンデン返しをやっています。
 え? 抽象的で何を言ってるかわからない? すいませんねえ、未読の人のために肝心の部分は明かせないんですよ。

【参考文献】
マーティン・H・グリーンバーグ編『新エドガー賞全集 アメリカ探偵作家クラブ傑作選(14)』早川書房

室谷克実『日韓がタブーにする半島の歴史』新潮社

 新羅の王・脱解は倭種(P28)で、その大輔の瓠公は倭人だった(P40)とか、「三世紀になっても半島の刀剣は鋳鉄だったが、列島では一歩も二歩も進んだ鍛造品が造られていた」(P48)とか、檀君神話は漢字で四百字弱しかない(P151)とか、色々と衝撃的なことが書いてあります。
 P152-153には檀君神話の原文(もちろん漢文です)が丸々引用されているので、漢文解読に自信のある方は読み下しに挑戦してみるといいかもしれません(ちなみに出典は『三国遺事』)。

 それはさておき、第四章では高句麗の将軍・乙支文徳(ウルヂムンドク)を取り上げ、彼を「“世界卑怯者列伝”に載せるべき人物」(P119)と評しています。なぜ彼が卑怯者なのかというと、偽の降伏を申し入れて隋の大軍を騙し討ちにした(薩水大捷)からとのこと。
 だがちょっと待ってほしい。戦争では敵をだますことなどよくあることで、「偽の降伏申し入れ」だって戦史には幾つか存在します。例えば三国志の赤壁の戦いでは呉軍の黄蓋がこれをやったし(しかも苦肉の計で相手を信用させるという工夫までしている)、日本でも厳島の戦いで桂元澄が陶晴賢に内応の約束をして油断させている(当然ながら謀神・毛利元就の指示によるもの)。相手が強大でまともにぶつかればこちらに勝ち目がない場合、このテの奇計を駆使するのは弱者としては当然です。
 ただし、カンニングだとか(P137)スポーツの紳士協定破りだとか(P138)となると話は別で、これらは非難されてしかるべきだと思います。戦争とは違う。

【参考文献】
室谷克実『日韓がタブーにする半島の歴史』新潮社

江戸川乱歩「鉄人Q」

あらすじ…白ひげの老人が造ったロボット「鉄人Q」が逃げ出し、幼女を誘拐する。

 巻末の解説によると、「魔法博士雲井良太の第四の事件にするつもりだったのかもしれない」(P733)とあるように最初は二十面相らしくない。例えば幼女を誘拐して身代金やお宝を取ろうとはしていないし、二十面相なら幼女の食料費を調達するためにわざわざ銀行泥棒をせずともポケットマネーで充分まかなえるはずです(この点についてはお金持ちの雲井も同じことが言える)。
 二十面相っぽさが出るのは鉄人Qが巡査に化けて上野公園の五重の塔を脱出するところあたりでしょうかね。あるいは、新橋の玉宝堂から宝石を盗むあたりでしょうか。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第22巻 ぺてん師と空気男』光文社

江戸川乱歩「電人M」

あらすじ…火星人と電人Mがあらわれた!

 P284-288に、二十面相の部下たちが盗んだお宝を二十面相のもとへ持って行くシーンが描写されているのですが、それがすごい。「すばらしい真珠の首かざり」(P284)、「雪舟の絵」(P285)、「いわれのある名刀、小さい金銅の仏像、ゆびわのいっぱいはいった、うつくしい宝石箱、西洋の有名な画家の油絵など」(P288)が、たった一日のうちに二十面相のものになっています。
 いくらなんでも警備が緩すぎるだろ、どこもかしこも。誰か一人くらい捕まえろよ。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第22巻 ぺてん師と空気男』光文社

江戸川乱歩「仮面の恐怖王」

あらすじ…怪人「仮面の恐怖王」があらわれた!

 今回、二十面相は京都の三十三間堂で仏像に変身しています。そこで何かを盗んだという描写はないものの、ひょっとしたらあの中の仏像の何体かを偽物とすり替えて盗み出したかもしれません(ただ盗むだけではすぐになくなったことがわかってしまいますが、偽物を置いておけば薄暗い室内のことだから気付かれにくいはず)。
 わざわざ文化財の豊富な京都まで「遠征」しておいて、ただ子供をビビらせるだけ(しかも相手は少年探偵団員ではない!)というのは考えにくいのです。

 ところで、今回は徳川埋蔵金が出てきます。それも逃走中の落盤事故という予期せぬ形で。二十面相がこれだけの宝をよく放置していたものだと不審に思ってしまいますが、ひょっとしたら前の持ち主が「いくらほっても金貨はみつから」(P130)なかったので、ここに埋蔵金はないと判断していたのかもしれません。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第22巻 ぺてん師と空気男』光文社

江戸川乱歩「かいじん二十めんそう」(たのしい一年生版)

あらすじ…ある日、ポケット小僧は、洋館から少女の悲鳴が聞こえてきたので、洋館に潜入する。

 このあと色々あって、ポケット小僧は二十面相に捕まり、洋館に一室に閉じ込められるのですが…。

 しばらくすると、ぽけっとこぞうは、むっくりとおきあありました。まどからでて、となりのまどのしたへいき、なかへはいっていきました。(P616)

 え!? 窓に鉄格子とか付いてないんですか? しかも、隣の窓には鍵もかかっていないようです。いくらなんでも油断しすぎでしょ。
 ちなみにこの後、富士山や東京タワー、お台場、鎌倉の大船観音と、これらの地をさながら観光するかのごとく大捕物が展開されます。
 二十面相も往生際が悪いですねえ。どうせ捕まってもすぐに脱獄できるんだから、そこまで逃げ回らなくてもいいのに。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人』光文社

江戸川乱歩「かいじん二十めんそう」(たのしい二年生版)

あらすじ…二十面相が黄金の仮面を着けて登場。石むらさんの絵を盗もうとする。

 このレビュー記事では江戸川乱歩作品の『黄金仮面』に登場する黄金仮面の正体について言及しています。ご注意ください。

 黄金仮面の正体はアルセーヌ・ルパンですが、そもそも二十面相は作者(乱歩)が少年ルパンものをやりたくて創造したキャラクターだから、二十面相はルパンの属性を濃厚に受け継いでいるし、ルパンの手口を真似ることも珍しくない。
 だから二十面相が黄金仮面をかぶってもおかしくないのですが、この作品の中で仮面があんまり活かされていないのは残念なところです。例えば部下にも黄金仮面をかぶせて瞬間移動したように見せかけるとか、色々やりようがあったんじゃないでしょうか。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人』光文社

江戸川乱歩「ふしぎな人」

あらすじ…古い西洋館に住む林さんが、隣家の子供(たけし君ときみ子ちゃん)と遊んでいると、明智小五郎と小林少年が警官隊をひきつれてやってくる。実は、林さんは怪人二十面相だったのだ!

 明智探偵がどうやって二十面相がいる西洋館を突き止めたのかとか、たけし君の父親が二十面相に捕らわれていたのにいつのまにか帰ってきている(救出されたとの記述なし)とか、そもそも宝石を盗み出すのに西洋館のみならず潜航艇やヘリコプターを用意しておくなど「そこまでやったら赤字だろ」といったツッコミどころがあります。
 もしも自分が子供の頃に読んだら、注意力散漫で見逃していたかもしれませんが、大人になった今ではユルい具合が目につきます。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人』光文社

江戸川乱歩「搭上の奇術師」

あらすじ…淡谷庄二郎の宝石を怪人四十面相が狙う。

 犯行予告の電話を受けた淡谷氏が、

「わかった。きみは予告の盗賊というわけだね。だが、いったいきみはだれた。予告するほどの勇気があるなら、名まえをいってもいいだろう。だいいち、名もなのらないというのは、礼儀ではなかろう」(P356)

 と説き、犯人はあっさり正体を明かした次第です。
 それにしても、こんなにあっさりバラしちゃっていいんだろうか? 相手が二十面相(四十面相)だと知れたら明智小五郎か小林少年が来ちゃうのに…。
 まあ、たとえ明智らの活躍でつかまっても、次の連載が始まる頃にはとっくに脱獄してるんだから別にいいか。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人』光文社

江戸川乱歩「夜光人間」

あらすじ…怪人「夜光人間」があらわれた!

 物語の冒頭、少年探偵団が肝試しをやっています。「暗闇なんかこわがらないようにするために」(P193)などというもっともらしい理由を述べてはいますが、子供たちにとっては娯楽なんでしょうねえ。
 で、そこに夜光人間が登場して子供たちを驚かせているのですが…こんなことをするのはあいつだな、きっと。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人』光文社

和田竜『小太郎の左腕』小学館

あらすじ…1556年。少年・小太郎はシモ=ヘイヘ並みの凄腕スナイパーだった! 戸沢家と児玉家が争う中、戸沢家の林半右衛門はその少年を合戦に参加させるべく…。

 『のぼうの城』は巻末に参考文献の数々が列記してあり、史実を基に書いているのがわかるのですが、今作『小太郎の左腕』はフィクションとなっています。そういえば物語の舞台となる場所がどこの国なのかも明らかにされていなかったような気がしますな。
 ちなみにインターネットで調べてみると、戸沢氏という戦国大名が東北地方に実在していたことがわかりました。しかもこの戸沢氏は本作と同様、国人から戦国大名になっています。
 だとすると、物語の舞台も大体そのあたりじゃないかと思いながら読み進めてみるといいかもしれません。

【参考文献】
和田竜『小太郎の左腕』小学館

【関連記事】
和田竜『のぼうの城』

三島由紀夫「復讐」

 玄武という老人の影におびえる一家の物語。

 どうにも歪(いびつ)な感じのする家族だな…と思いながら読み進めていると、最後の方で倉谷玄武の脅迫状が登場して、なぜ彼らがおびえているのかが明らかになります。
 その中に「俺の愛する息子に戦犯の罪をなすりつけ」(P349)とあり、このあたりは終戦からさほど経っていないことを感じさせます。

【参考文献】
紀田順一郎/東雅夫=編『日本怪奇小説傑作集2』創元社

城昌幸「人花」

あらすじ…園芸マニアの友人が巨大人食い花に自分の身を食わせて死ぬ。私は亡友の遺言に従ってその人食い花の世話をし続けるが…。

 友人の遺書は格調高い擬古文になっているのですが、人食い花の中で自分の全身を溶かしながら書いていることを思い合わせると、その文体がかえって異常性を際立たせているように感じられます。

【参考文献】
紀田順一郎/東雅夫=編『日本怪奇小説傑作集2』創元社

江戸川乱歩「奇面城の秘密」

あらすじ…怪人四十面相から、レンブラントの絵を盗むという予告状が届く。明智小五郎らの活躍により盗みは阻止され、四十面相は休養のためにアジトの一つ「奇面城」へ行く。

 今回はポケット小僧が大活躍しています。小林少年のお株を奪う奮闘ぶりです。
 世代交代ってところでしょうかね。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人』光文社

江戸川乱歩「妻に失恋した男」

あらすじ…南田という男が死んだ。妻が自分を愛してくれないことを苦にしての自殺と思われたが、担当刑事は不審に思い捜査を続ける。

 世田谷署の刑事は容疑者につきまとうことで心理的圧迫を加え、ついには自白を引き出すに至っています。
 これは裏返して言うならば、決定的な証拠を掴むことができなかったからこんな手法を取ったのでしょう。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人』光文社

【関連記事】
江戸川乱歩(目次)

Xファイル:真実を求めて(2008年、アメリカ)

監督:クリス・カーター
出演:デビッド・ドゥカブニー、ジリアン・アンダーソン、アマンダ・ピート、ビリー・コノリー
原題:The X-Files: I Want to Believe

あらすじ…FBI捜査官が行方不明になる。ジョー神父が透視によって探し当てたのは、別人の腕だった。そこでFBIは、元捜査官のフォックス・モルダーに協力を依頼する。

 Xファイルについて言えば、昔、テレビ朝日で放送されていたのを視聴していましたが、ファイナルシーズンまで放映されずに終わってしまったと記憶しています。ですから、この映画の中盤で、モルダーとスカリーが一つのベッドの中で語り合っているシーンが出てくると、
「あれっ、お前らいつの間にデキてたの!?」
 と、意外な感じがしました。
 それはさておき、事件を解決した後、モルダーとスカリーはチューして、「俺たちの戦いはこれからだ!」的な感じで別れました。これって、次回作のフラグと解釈していいんでしょうかねえ。

【関連記事】
X-ファイル:シーズン1 第1話 序章

レニングラード 900日の大包囲戦(2009年、英露)

監督:アレクサンドル・ブラフスキ
出演:ミラ・ソルヴィノ、ガブリエル・バーン、アーミン・ミューラー=スタール、オルガ・ストゥローヴァ、アレナ・ステブノーヴァ
原題:LENINGRAD
備考:戦争ヒューマンドラマ

あらすじ…1943年、ドイツ軍はソ連に侵攻し、レニングラード(現サンクトペテルブルク)を包囲する。そんな中、新聞記者のケイトは取材中に空爆を受け、元婦人警官で市民兵のニーナに助けられるが…。

 食料がないという、飢餓地獄です。スターリングラードの戦いについては、文献である程度は知っていましたが、レニングラードでも地獄絵図が展開されていましたか。
 ともあれ、この映画を観ると食い物を粗末にしちゃいけないことが痛感できます。

エンド・オブ・オール・ウォーズ(2001年、アメリカ)

監督:デビッド・L・カニンガム
出演:ロバート・カーライル、キーファー・サザーランド、シアラン・マクメナミン、マーク・ストロング、ジェームズ・コスモ、木村栄、佐生有語
原題:To End All Wars
原作:アーネスト・ゴードン『クワイ河収容所』筑摩書房
備考:2001年トロント国際映画祭正式出品作品

あらすじ…第二次世界大戦下。マクリーン中佐率いるスコットランド部隊は日本軍に捕えられ、捕虜収容所に送られる。そしてそこで、泰緬鉄道の建設に従事することに。マクリーン中佐は口論の末に殺され、副官のキャンベル少佐は脱走計画を企て始める。一方、ゴードン大尉は秘密の大学を開く。

 映画の冒頭、スコットランドから勇ましく出陣したと思ったら、次のシーンでは既に日本軍の捕虜になっています。その間の長距離移動や戦闘シーンなどは描写されておりません。そもそもこの映画は収容所が主な部隊なので、そういう余計な箇所は省略しても構わないのですが、特に戦闘シーンが無かったりすると「ははあ、これは予算が無いんだな」と勘繰ってしまいます。
 ちなみに、DVDのパッケージに出てくる爆撃は、アメリカ軍が捕虜収容所を爆撃して味方の連合国軍兵士を殺しているところです。戦争映画の見せ場らしい唯一のシーンとはいえ、これを持ってくるとは…。

 最後に、ゴードン大尉たちの「秘密の大学」について。なるほど、これは面白いアイデアですな。収容所という閉鎖的な空間で、しかも泰緬鉄道の建設という肉体的にも精神的にも追い込まれる状況下で知的作業が展開される。ガテン系には理解しがたいかもしれませんが、知的好奇心が旺盛な者ならばまたとない楽しみとなるのでしょう。

ロビン・フッド(2010年、英米)

監督:リドリー・スコット
出演:ラッセル・クロウ、ケイト・ブランシェット、マーク・ストロング、ウィリアム・ハート
原題:Robin Hood
備考:歴史スペクタクル大作

あらすじ…12世紀末。イギリスの獅子心王リチャードは十字軍遠征の帰路、フランスを荒らし回っていたが、攻城戦で命を落としてしまう。弓兵のロビン・ロングストライドは見切りをつけて離脱するが、騎士ロバートの一行が待ち伏せに遭って襲われているところに居合わせ、成り行きからリチャードの王冠をロンドンへ、ロバートの剣をノッティンガムへ届けることになる。そしてノッティンガムでロバートの身代わりになるよう、ロバートの父から頼まれる。

 ロビン・フッドといえば森で弓矢を使うというイメージが強いのですが、この映画では森で活躍するシーンがどうも少ないなと思っていたら、映画の最後でロビン・ロングストライドがロビン・フッドになって話が終わっています。2時間以上もの長時間をかけて(しかも戦闘はたくさんある)、最後にようやくロビン・フッドが「誕生」したということは…ひょっとして次回作のフラグ?

 それはさておき、この映画は冒頭の攻城戦からクライマックスのフランス軍上陸戦に至るまで、戦闘シーンが豊富に盛り込まれています。予算が潤沢なんだということが察せられます。

ステロイド合衆国~スポーツ大国の副作用~(2008年、アメリカ)

監督:クリス・ベル
出演:クリス・ベル、マーク・ベル、マイク・ベル
原題:Bigger, Stronger, Faster
備考:ドキュメンタリー

あらすじ…アーノルド・シュワルツェネガー、ハルク・ホーガン、シルヴェスター・スタローン等のアメリカン・ヒーローがステロイドを使用していたことを知ってヘコんだクリス・ベル。彼はステロイドを使わないが、兄と弟は使っている。クリスはプロスポーツ選手や医療の専門家、政治家などにインタビューして行く。

 AV男優が液状バイアグラをペニスに注射したり、高校生が勉強のために覚醒剤を使用したり、筋肉ムキムキの牛が登場したりと、色々と衝撃的なハナシが出てきます。
 その中で私の興味を惹いたのは、アメリカ人には「筋肉信仰」があるということです。映画の中ではGIジョーが取り上げられていましたが、そういえばアメコミのヒーローなんかも(場合によってはヒロインも!)ヤケに筋肉ムキムキですよねえ。

 この映画を観終わった後、ニコニコ動画のレスリングシリーズに登場する、筋肉ムキムキの妖精たちを見ると、「彼らもステロイドを使ってんだろうなあ」と勘繰ってしまいます。

ウルフマン(2010年、英米)

監督:ジョー・ジョンストン
出演:ベニチオ・デル・トロ、アンソニー・ホプキンス、エミリー・ブラント、ヒューゴ・ウィーヴィング
原題:The Wolfman

あらすじ…19世紀末ロンドン。舞台俳優ローレンス・タルボットのもとに、弟ベンの婚約者グエンが訪れ、ベンが行方不明になっていると告げる。ローレンスは故郷ブラック・ムーアへ帰るが、弟は惨殺死体となって発見されていた。

 ローレンスの父ジョン・タルボット卿を演じているのがアンソニー・ホプキンス。この段階でこいつが一番怪しいと思わざるを得ません。
 実際のところどうだったのかについてはネタバレになるので言いませんが、物語の中で徐々に真相が明らかになっていった時に、「そんなことだろうと思った」という感想を抱いたことは事実です。

 最後にどうでもいいことを一つ。ヒロイン(エミリー・ブラント)のアゴが割れていたのが印象的でした。

エクスペンダブルズ(2010年、アメリカ)

監督:シルヴェスター・スタローン
出演:シルヴェスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ランディ・クートゥア、テリー・クルーズ、ミッキー・ローク
原題:The Expendables
備考:R-15

あらすじ…傭兵集団エクスペンダブルズが活躍する。

 一応ストーリーはあるのですが、正直言ってどうでもいいです。80年代、90年代に活躍したアクションスターたちによるド派手なアクションが楽しめればそれでいい。
 もちろん彼らは、銃弾が飛び交う中を駆け回っても決して弾が当たることはないし(その代わり敵側の戦闘員には不思議とよく命中する)、たとえ建物が倒壊して自分の方に倒れてきても間一髪で回避する。ベテランだけにそういったところでは抜群の安定感がありますな。
 それから、人口6000人の小島には不相応な大爆発も見逃せません。ケチくさい私は何もそこまでやらなくてもいいんじゃないかと思いますが(独裁者の将軍と、元CIA局員の二人を殺せば充分だろ?)、彼らのノリでは派手にドッカンドカンとやらないと気が済まないようです。

【関連記事】
エクスペンダブルズ2
エクスペンダブルズ3

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