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伊集院静「上陸待ち」

 巻末の解説によると「上陸待ち」は、「一九五〇年の朝鮮戦争のころのことを、一九七一年を背景に描き出した作品」(P517)とのことで、物語の中で過去に行ったり現代(1971年)に戻ったりと忙しく変わります。そのせいか、注意して読んでいないと今読み進めているのはいつの時代のことだったかちょっとわからなくなります。

 ところで、作品内にこんな文章がありました。

 アケミは祖国を朝鮮学校での授業と教科書の中でしか知らない。彼女にすれば世界の中心は平壌にあり、一番偉いのは金日成であり、いつか世界が金日成の手で統一されて平和がおとずれると、つい一年前まで信じていた。(P344)

 おお、こんなところに北朝鮮製のウリナラファンタジーが。それにしても世界統一なんてアメリカでもできないことなのに、それを夢想するとは大風呂敷にもほどがある。

【参考文献】
日本文藝家協会編『短篇ベストコレクション 現代の小説2011』徳間書店

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