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With Music USEN PROGRAM GUIDE Vol.17

 USENの株主総会で入手しました。

定価600円(税込み)
本誌の料金は基本利用料の中に含まれています。

 とありますが、これだけを読んでみても600円もの価値を見出しにくいというのが正直な感想です。しかし本誌はUSENと音楽放送の契約をしたところに送られてくるものなので、小売店で販売するよりも値下げ圧力が働きにくいものと思われます。
 ではどうすれば値下げできるのか? 三点ほど挙げておきます。

(1)広告をもっと増やす
(2)ページ数・記事数を減らす
(3)紙質を落とす

 ちなみに、株主総会の質疑応答で株主から指摘されていたことなのですが、本誌のJ-POPの中にK-POPが紛れ込んでいるとのこと。
 そこで調べてみると、P30のJ-POPコーナーに嵐やAKB48などに混じってKARAや少女時代がいました。
 一般的な社会通念ではJ-POPとK-POPは別物だと認識されており、K-POPをJ-POPに分類するのは適切ではありません。又、これを知った韓国人が、
「アイゴー! ウリナラの少女時代とKARAが日本のものにされてしまったニダ!」
 と怒り出すかもしれません。
 K-POPコーナーを新設するか、K-POPに分類されるべき者たちを除外するか、あるいはそれらが「諸般の事情」で不可能ならばコーナー名を「J-POP/K-POP」にするかした方がいいでしょう。

With Music USEN PROGRAM GUIDE Vol.17

http://music.usen.com/

Pacchi Guu 2011.10月号 VOL.122 関東エリア版

 パチンコ・スロットのフリーマガジン。
 P6-11の新台情報をチェックしてみると、P6-7に「プレミアム海物語」が。海物語は人気の定番シリーズなので最初にデカデカと取り上げたものと思われます。
 それから、「パチスロ怪盗天使ツインエンジェル」(P9)や「CRウィッチブレイド399WST」(P10)は「大きいお友達」向けといったところでしょうか。

Pacchiguu

http://www.p-guu.net/

Close Up! BOAT RACE

 ていちゃんカフェで入手しました。数多くの有名人がボートレース(競艇)について語っていますが、メンツが凄い。
表紙
 表紙を飾っているのは、左上から時計回りに、安田美沙子、細川茂樹、山本梓、井筒和幸、菊川怜、加藤茶。この他にも片山晋呉(P16)、竹中直人(P28)、輪島大士(P46)、二宮清純(P72)などなど…。
 私は競艇には詳しくないのですが、よくもこれだけ集められたものだと感心してしまいます。

Closeup

佐藤賢一『カエサルを撃て』中央公論新社

あらすじ…ガリアの王ウェルキンゲトリクス(ヴェルチンジェトリクス)とユリウス・カエサルが戦う。

 ヴェルチンジェトリクスが「美しくも残忍な若者」(裏表紙の紹介文より)として描かれているのに対し、ユリウス・カエサルは劣等感コンプレックスの塊として描かれています。でも、ポンペイウスに対して劣等感を抱くならまだしも(ルビコン前の当時は ポンペイウス>カエサル だった)、ヴェルチンジェトリクスにそこまで劣等感を抱かなくてもいいんじゃないかと思うくらいです。
 それに、ハゲは…まあいいか。

ていちゃんカフェ

 ある日のこと、港区虎ノ門にある「ていちゃんカフェ」に行ってきました。二階の席でボートレースを観賞することができます。
 ちなみにコーヒーの味は普通、量はちょっと多めです。又、店舗内が狭いということもあってか、一階にいる店員のおしゃべりが二階まで聞こえてきます(それだけ暇な時間に来ちゃったんですかね)。

ていちゃんカフェ

江戸川乱歩「サーカスの怪人」

あらすじ…サーカスに骸骨男が出没して営業妨害する。次第に骸骨男は団長の息子を付け狙うようになる。

 サーカス団の団長には息子と娘が一人ずついますが、怪人がターゲットとするのはもっぱら息子の正一君の方。なぜなら怪人の正体は…バラしちゃってもいいですよね? どうせ目次を見れば予想が付きますが、犯人は二十面相です。二十面相はロリよりもシャタの傾向があるから正一君を狙ったのでしょう。
 それはさておき、今作では二十面相の本名(?)が明らかにされていますが、そこまでわかったのなら彼の生い立ち等の個人情報がもう少し明らかにされてもよかったんじゃないかと思いました。…いや、やっぱり二十面相は謎めいた存在であるべきだから、詳細は伏せたままにしておくのがいいでしょう。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第20巻 堀越捜査一課長殿』光文社

アーサー・コナン・ドイル『回想のシャーロック・ホームズ』創元社

 新潮文庫版の『シャーロック・ホームズの思い出』には収録されていなかった(と記憶している)「ライゲートの大地主」(P203-240)について取り上げます。

 八七年の春、わが友シャーロック・ホームズ氏は、働きすぎからくる無理がたたって病に倒れ、回復するまでにしばらく時間がかかった。(P203)

 と、冒頭でいきなり過労でブッ倒れています。しかも静養先のサリー州ライゲートで殺人事件が起こり、捜査を依頼されています。
 どうやら世間は、ホームズに充分な休息を与えちゃくれないようです(たとえ病気でも!)。まあ、過労でダウンするのは問題外だとしても、逆に暇だとホームズはコカインに手を出しちゃうからなあ…。

太田隆『シャーロック・ホームズの経済学』青弓社

 ここでは日本シャーロック・ホームズ・クラブの見解をもとに一ポンドを二万四千円とした。(P13-14)

 しかもホームズは王侯貴族やブルジョアジーから貰う報酬は1000ポンドが相場だそうですので、ちょっと計算してみますと…2400万円ですか! 持っている人は持っているもんですねえ。
 まあ、例えば「ボヘミアの醜聞」のボヘミア国王にしてみれば、スキャンダルの揉み消し工作に成功して無事に政略結婚できるのならそれでも安いのかもしれません。
 あ、ちなみに、富裕でない一般庶民からの依頼はもっとリーズナブルな料金になっているのでご安心を。

ポール・ドハティー『赤き死の訪れ』創元社

あらすじ…ロンドン塔の城主、ラルフ・ホイットン卿が塔内の居室で殺された。クランストン検死官はアセルスタン托鉢修道士を従えて捜査に乗り出すが、第二第三の殺人が…。

 被害者が過去に外国で犯した悪行が原因で殺される、というモチーフはシャーロック・ホームズの『緋色の研究』や『四つの署名』などでも見られます。
 ちなみにその「過去の悪行」は物語の中盤で明らかになるのですが、もう少し遅くてもよかったような気がしないでもない。

【関連記事】
ポール・ドハティー『教会の悪魔』早川書房

江戸川乱歩「魔法人形」

あらすじ…JS誘拐・監禁。

 今作からポケット小僧が登場。
 本文中に「これまでにも、いろいろ手がらをたてたことがあります」(P313)とありますが、巻末の註釈によると「それらの実績は発表されておらず、ポケット小僧はこれが初登場である」(P603)とのこと。
 井上一郎や野呂一平、花崎マユミよりもデビューが遅く、しかもチンピラ別働隊が結成されてだいぶ経ってから名前が出てきているので、ポケット小僧は遅咲きのキャラといえます。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第20巻 堀越捜査一課長殿』光文社

江戸川乱歩「妖人ゴング」

あらすじ…明智小五郎の姪・花崎マユミが明智探偵事務所に就職。そして銀座に怪人「妖人ゴング」があらわれた!

 この作品で花崎マユミが初登場となりますが、ここではこれといった活躍をしません。ただ怪人に付け狙われるだけで、むしろチンピラ別働隊のモブ団員の方が活躍しているくらいです。
 彼女がそれなりに活躍し始めるのは次の「魔法人形」からで、この時はまだ見習い期間だったのでしょう。

 それはさておき、今回の怪人(正体は例によって例の如し)は「ウワンウワンウワン…」と言うことから妖人ゴングと名付けられたそうですが、この鳴き声を読んで妖怪「うわん」を想起しました。そういえば妖人ゴングは巨大な顔を見せていましたが、妖怪「うわん」も巨大な姿をしていましたっけ。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第20巻 堀越捜査一課長殿』光文社

【関連記事】
江戸川乱歩(目次)

ビン・ラディンを探せ!~スパーロックがテロ最前線に突撃!~(2008年、アメリカ)

監督:モーガン・スパーロック
出演:モーガン・スパーロック
原題:Where in the World Is Osama Bin Laden?
備考:ドキュメンタリー

あらすじ…モーガン・スパーロックがオサマ・ビン・ラディンを探しに行く。

 アルカイダのリーダー、オサマ・ビン・ラディンはアメリカ軍の特殊部隊シールズに射殺されましたが、これはその前に撮られたものです。
 エジプト、パレスチナ、パキスタン、アフガニスタンなどの国々を巡り、現地の生の声を聞いて回っているのですが、意外に思ったことが一つあります。それは、彼らの間でオサマ・ビン・ラディンが結構嫌われているんだということです。インタビューされた人の中にはアルカイダを支持するようなコメントをする人もいましたが、それらは少数派。多数は不支持です。
 ではなぜ嫌われているのか? 彼らの言葉に耳を傾けてみると、アルカイダのテロ行為は女性や子供をも巻き込んでいるし、彼らのせいでムスリムといえばテロリストだというイメージが世界に広まってしまった等々…。
 なるほど、アルカイダはイスラム社会の面汚しといったところでしょうか。たとえ「イスラムの大義」「ジハード」といった「正義の旗」を掲げていたとしても、汚い手段を使っているようでは支持できないわけですな。

江戸川乱歩「赤いカブトムシ」

あらすじ…魔法博士(雲井良太)と少年探偵団が、ルビーの赤いカブトムシを巡って知恵比べする。

 基本的には「黄金の虎」と似たり寄ったりの展開ですが、巻末の註釈にあるようにシャーロック・ホームズの「六つのナポレオン」「ボヘミアの醜聞」の影響があるところにニヤリとさせられました。
 シャーロック・ホームズなら児童向けに書き直されたものがあるので、そちらを読んでから本作を読むという場合もないことはないのでしょうが、難易度を考えると少年探偵団シリーズを先に読む場合が多いことでしょう。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第20巻 堀越捜査一課長殿』光文社

【関連記事】
江戸川乱歩(目次)

江戸川乱歩「まほうやしき」

あらすじ…井上一郎とその妹ルミちゃん、そして野呂一平の3人は、ちんどん屋さんのおじさんに誘われて、不思議な西洋館へ行く。

 で、結局この3人は様々な怪異を見せられた挙句に部屋に閉じ込められるものの、BDバッジを使って救援を要請、少年探偵団が助けに来ます。そして犯人(「黄金の虎」の魔法博士)は3人を解放し、警察沙汰にしないでメデタシメデタシ…。
 おいおい、これは未成年者の誘拐と監禁ですぜ。前回(黄金の虎)は正々堂々と勝負を挑んだ上でのことでしたが、今回は不意打ちです。しかも少年探偵団員ではないルミちゃんまで巻き込んでいるという悪質さ。
 魔法博士にはちょっと塀の中で臭い飯を食っていただいた方がいいんじゃないでしょうか。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第20巻 堀越捜査一課長殿』光文社

【関連記事】
江戸川乱歩(目次)

江戸川乱歩「堀越捜査一課長殿」

あらすじ…警視庁捜査一課の堀越氏のもとに、異様な封書が届く。それは、5年前の東和銀行盗難事件の真相を告白したものだった。

 大人向けの短篇作品。
 P68の「自作解説」によると、「トリックに新味がなく、失敗の作であった」と述べていますが、確かにその通り。とはいえ、トリックの使い回しはよくあること(江戸川乱歩作品では珍しくない)で、それ以外の部分で面白味を持たせられるかということも重要です。
 さて、それでは本作の面白味はというと…。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第20巻 堀越捜査一課長殿』光文社

【関連記事】
江戸川乱歩(目次)

アガサ・クリスティー「二重の手がかり」

あらすじ…ハードマン氏の宝石が盗まれた。ポアロが金庫を調べてみると、男ものの手袋とシガレットケースという「二重の手がかり」が出てくる。

 このテのあからさまな「手がかり」は、犯人が他者をハメるため(と同時に自分に嫌疑がかからないようにするため)に置いたものであったりするので、そのまま鵜呑みにするわけにはいきません。特に、アガサ・クリスティーのような作者がいる場合は。

【参考文献】
アガサ・クリスティー『教会で死んだ男』早川書房

アガサ・クリスティー「教会で死んだ男」

あらすじ…牧師の妻バンチ・ハーモンは教会内で倒れている男を発見する。バンチは医者を呼ぶが、男はまもなく死んでしまう。男の親族だというエクルズ夫妻がやってくるが…。

 エクルズ夫妻が死んだ男の背広を欲しがるところで「こいつは怪しいな」と思いました。「形見にとっておきたい」(P423)というのが理由らしいのですが、形見ならば「懐中時計と、お財布と、列車の切符」(P421)があり、そっちの方が形見としてふさわしいからです。
 なぜ、背広に執着するのか? 背広に何かあるのか? …と、ここから先はミス・マープルの出番ですのでこれ以上述べるのは差し控えさせていただきます。

【参考文献】
アガサ・クリスティー『教会で死んだ男』早川書房

アガサ・クリスティー「戦勝記念舞踏会事件」

あらすじ…戦勝記念舞踏会でクロンショー卿が何者かに殺された。そして、彼の婚約者ココ・コートニーは自宅で死んでいるのが発見された。ジャップ警部の依頼を受けて、名探偵エルキュール・ポアロがヘイスティングズを従えて捜査に乗り出す。

 まず最初に注意を少々。このレビューで犯人の名前こそ明かしませんが、犯行のトリックについては若干ネタバラシしています。

 「仮装舞踏会」(P14)という言葉でピーンと来ました。これは「なりすまし」のトリックを使っているな、と。例えば犯人が被害者を殺しておいて、その被害者の仮装を身にまとって人目にさらすことで被害者がまだ生きていると思わせるというものです。
 アルセーヌ・ルパンや二十面相くらいの変装の達人なら、仮装パーティーでなくても他人になりすますことができますが、そんな人物はそういるものじゃない。やはり大抵の人には仮装舞踏会といった特別の舞台があった方がいい。
 そんなことを考えながら読み進めてみたら、やっぱりこのトリックが使われていました。
 というわけで、どの時点で犯人がクロンショー卿になりすましたのかに注意しながら読んでみるといいかもしれません。

【参考文献】
アガサ・クリスティー『教会で死んだ男』早川書房

軍用列車(1975年、アメリカ)

監督:トム・グライス
出演:チャールズ・ブロンソン、ベン・ジョンソン、ジル・アイアランド、リチャード・クレンナ、チャールズ・ダーニング
原題:Breakheart Pass
備考:アクション/ミステリー

あらすじ…1873年、疫病によって全滅しかかっている砦の騎兵隊を救うため、知事とその姪、牧師、医師などを乗せた軍用列車が派遣された。途中停車した町の酒場で、脱獄犯ディーキンはネイサンとともに列車に同乗するが、軍用列車の中で次々と殺人事件が発生、医師の資格を持つディーキンは独自に調査を開始する……。(パッケージの紹介文より引用)

 列車が山を登っている最中に、後続の車輌が切り離され、兵隊を乗せたその車輌が崖から転落するシーンがあります。崖から落ちる、それはそれで結構なのですが、転落シーンをよく見ると、寝台車が壊れて中は無人だということがわかります。おかしいなあ、ここには兵士たちがたくさん乗っているはずなのに。
 そもそも人を乗せていたら死んでしまうから乗せるわけにはいきませんが、それならマネキンに軍服を着せて配置しておいてもよかったかもしれませんな。

特攻野郎Aチーム the movie(2010年、アメリカ)

監督:ジョン・カーナハン
出演:リーアム・ニーソン、ブラッドレイ・クーパー、クイントン・ジャクソン、シャールト・コプリー、
原題:The A-Taem
備考:アクション

あらすじ…Aチームの面々は無実の罪により逮捕・収監される。だが、リーダーのハンニバルが脱獄し、仲間を集めてAチームを再結成。自分たちをハメた連中に復讐すべく動き出す。

 この作品を観る前に観賞した「戦場でワルツを」との落差が激しすぎました。「戦場でワルツを」が陰鬱なのに対し、このアメリカ映画は飽くまで陽気なノリです。
 又、高度6000メートルの上空から戦車で落下するなど、色々とブッ飛んでいます。ここまで来ると、もうファンタジーの領域ですな。

 ところで、この映画の冒頭でモヒカン黒人B.A.(バラカス)が飛行機恐怖症になった経緯が描かれているのですが、理由としては弱いような気がします。というのは、Aチームではあの程度は危険の内に入らないからです。

初めての場所へ行くとき

 未知のエリアでは必ずといってよいほど道に迷います。地図を見ながら行っても迷うほどです。のみならず、行ったことのある場所でも迷うことすらあります。

 迷わし神でも憑いているんですかね。

ブログネタ: 初めての場所へ行くとき、迷わずに行ける?参加数

森鴎外「桟橋」

あらすじ…伯爵夫人が夫を桟橋まで見送る。

 「桟橋が長い長い。」という一文が短い物語の中に繰り返し登場します。数えてみたら7ページの中に5回も出てきました。
 これによって、作品が一種のメロディを帯びたようになり、淡々とした表現とあいまって独特の雰囲気を漂わせています。
 レビューが短い短い。

【参考文献】
『森鴎外全集2 普請中/青年』筑摩書房

森鴎外「普請中」

あらすじ…渡辺参事官が普請中の精養軒ホテルでヨーロッパ人女性と会食する。

 「日本はまだ普請中だ」(P80)というセリフから、建設途上にある国家としての日本を表現して云々という評論で有名な作品(誰の評論だったか覚えていないが、大学の先生が話していたような気がする)。
 ただし今回は別のことについて少々。

 「キスをして上げても好くって。」(P80)

 という女のセリフからこの男女の関係がある程度推し計れます。即ち、キスをしてもよいほどの親しさはあるが、ズッコンバッコンするほどではない、と。いや、ひょっとしたら女は食事だけでなくセックスに発展することを期待していたのかもしれませんが、「ここは日本だ。」(P80)と言って顔を顰めた渡辺参事官の方にはその気はなかったようです。

【参考文献】
『森鴎外全集2 普請中/青年』筑摩書房

森鴎外「食堂」

あらすじ…役所の食堂で3人の役人が、大逆事件(幸徳事件)を皮切りに無政府主義者たちについて語る。

 3人のうちの木村という男が講釈を垂れてくれているのですが、事前の準備も資料も一切なく、よくこんなにスラスラと言えたものだと感心してしまいます。講釈の中味は本作をお読みくださいとしか言えませんが、

「君馬鹿に精しいね」と、犬塚が冷かした。(P168)

 という一文が出るのも納得です。ひょっとして木村は…。

【参考文献】
『森鴎外全集2 普請中/青年』筑摩書房

森鴎外「里芋の芽と不動の目」

あらすじ…理学博士増田翼(たすく)は酒席で明治維新の頃のことを語る。

 増田博士は話の中で、里芋の芽を見て選り分けた自分と、線香を不動明王像の目に押し付けた狂信者(Fanatiker)の兄とを対比させています。
 ただ、その兄は何を信じていたかというと、「旧思想の破壊というような事に、恐ろしく力瘤を入れていた」(P62)とあるのですが、さてその先のこととなるとわからない。旧思想を無くしたら新思想が必要になるのですが、その時点ではそこまで行ってなかったのでしょう。

【参考文献】
『森鴎外全集2 普請中/青年』筑摩書房

森鴎外「木精」

あらすじ…子供の頃に谷間の巌で木精(こだま)を聞いていたフランツは、再びコダマを聞こうとハルロオと呼ぶも、コダマは返ってこない。夕方にそこを再訪すると見知らぬ子供たちがいて、彼らがハルロオと呼ぶとコダマが返ってくるのを聞く。

 「木精」というタイトルを見て、「もくせい?」と思いましたが、読み進めてみるとこの文字に「こだま」とルビを振ってあるのに行き当たりました。コダマを木霊と表記するのは知っていましたが、木精とも書くとは寡聞にして知りませんでした。
 まあ、ヨーロッパ人のフランツにとってはどうでもいいことなんですけどね。

【参考文献】
『森鴎外全集2 普請中/青年』筑摩書房

“努力は報われる”と思う?

 可能だ。ただし、実現可能なラインに目標設定するならば。

 例えば、「一切の休憩なしで地球を泳いで一周する」なんてことはどんなに努力しても無理だが、「食後に運動するようにして体重を1kg減らす」ならば可能であるし、その程度の努力ならば報われるでしょうな。

ブログネタ: “努力は報われる”と思う?参加数

アドルフ・ヒトラー『わが闘争(下)』角川書店(9)

 第九章「突撃隊の意味と組織に関する根本の考え方」(P189-232)では、第七章で活躍した整理係(整理隊)を「突撃隊」に発展させて、彼らをゾロゾロと引き連れて
(1)ミュンヘンの行進(1922年晩夏)
(2)コブルクへの行進(1922年10月)
 を成功させたことを得意げに記し、最後に
(3)ミュンヘン一揆(1923年)
 の挫折を、奥歯にもののはさまったような口調で述べています。

 今日なお、これについて公然と語ったり、書いたりすることは不可能であり、特に国民的利益からいって有益でない。わたしはただ公然の論議においてこのテーマに早くも触れ、それによって公に知られているかぎりで述べることができるだけである。(P231)

 これが書かれた当時は「諸般の事情」により言えなかったのでしょう。実際、『わが闘争』はミュンヘン一揆(ヒトラー一揆)に失敗して服役していた時に口述筆記されたものですし。
 まあ、今となっては歴史の1エピソードとして、誰もが知ることができます。例えばこの件についてとりあえず知りたい方はwiki「ミュンヘン一揆」を参照されたし。

『わが闘争』(目次)

metropolitana 11 Nov.2011 vol.107

 特集記事が「紅茶で乙女気分」(P4-11)。読み手の私は乙女じゃなくてオッサンだけど、紅茶はたまに飲むので読んでみることにしました。
 とはいえ、私がもっぱら使うのはティーバック。ジャンピング(茶葉がポットの中で踊ること)や茶こし器とは無縁の存在。せいぜいできることといえば湯の温度ですかね。

 酸素を含ませるため勢いよく注いだ水で95~98度を目安に沸かす。沸騰しきる直前、全体がふつふつとしてきたら火を止める。(P9)

 なるほど、温度のみならず酸素もですか。

Metropolitana

三崎亜記「闇」

あらすじ…サラリーマンの男が出張先のホテルで「闇」と遭遇して以来、その闇に取り込まれてしまうという恐怖を感じるようになる。

 この「闇」とは一体何なのか? そんな疑問を感じたら、ご安心ください。作品中にちゃんと書いてあります。

 あの「闇」は、誰もが心に持つ闇を具現化したものなのだ。(P508)

 とはいえ、寧ろ逆に作中では正体を明かさずに、わけのわからないものという不気味さを漂わせて終わらせた方が面白かったんじゃないかとも思ってしまいます。心の闇なんて当たり前すぎて…。

【参考文献】
日本文藝家協会編『短篇ベストコレクション 現代の小説2011』徳間書店

伊集院静「上陸待ち」

 巻末の解説によると「上陸待ち」は、「一九五〇年の朝鮮戦争のころのことを、一九七一年を背景に描き出した作品」(P517)とのことで、物語の中で過去に行ったり現代(1971年)に戻ったりと忙しく変わります。そのせいか、注意して読んでいないと今読み進めているのはいつの時代のことだったかちょっとわからなくなります。

 ところで、作品内にこんな文章がありました。

 アケミは祖国を朝鮮学校での授業と教科書の中でしか知らない。彼女にすれば世界の中心は平壌にあり、一番偉いのは金日成であり、いつか世界が金日成の手で統一されて平和がおとずれると、つい一年前まで信じていた。(P344)

 おお、こんなところに北朝鮮製のウリナラファンタジーが。それにしても世界統一なんてアメリカでもできないことなのに、それを夢想するとは大風呂敷にもほどがある。

【参考文献】
日本文藝家協会編『短篇ベストコレクション 現代の小説2011』徳間書店

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