ベルトルト・ブレヒト『三文オペラ』長崎出版
あらすじ…女王陛下の戴冠式が行われようとしているロンドン。ストリートギャングの頭メッキ・メッサーは、乞食の元締ピーチャムの一人娘ポリーと結婚式を挙げるが、結婚に反対のピーチャム夫妻は手を回してメッキを指名手配させる。ポリーからの知らせでメッキは高飛びしようとするが、売春宿にしけ込んだところを逮捕された。一度は脱獄に成功するも再び逮捕され、いよいよ処刑されることになるのだが…。
『三文オペラ』は「乞食のためのオペラ」(P7)ということで、どうにも安っぽい。実際に演劇を観たわけではないのですが、歴史劇に登場する勇壮な鎧兜も宮廷劇に登場する華麗なドレスもなく、登場人物の多くが社会の下層に属することなどを考慮すると、安っぽさは否定できないでしょう。
尚、本作では「アウトオブ眼中」(P65)、「本心を打ち明けてくれてチョモロハ」(P112)など、砕けた表現(?)も散見されます(訳:酒寄進一)。だけど三文オペラにはそれがお似合いかもしれませんな。いえいえ、堅苦しくない作品だって意味で褒めてるんですよ。
ところで、本作の主人公とも言うべきメッキ・メッサーは、この作品の中で名前が出てきただけでも4人もの女性(ポリー・ピーチャム、ルーシー・ブラウン、ジェニー、スーキー・トードリー)と関係を持っています。しかも、警察に追われた時にさっさと高飛びすればいいものを、売春婦のところへしけ込んでそこで逮捕されています(それも一度ならず二度までも!)。
これらのことからメッキ・メッサーは、タイガー・ウッズやアーノルド・シュワルツネッガーのようなセックス中毒だったのではないかと推測いたします。
ちなみに、最後の結末は…よくわからん。ネタバレになるから結末は伏せておきますけど、無理矢理感が満ち満ちているようです。
※アウトオブ眼中:眼中にないの意。チョモロハ:超もろハッピーの略で、「マンモスうれP」とほぼ同義であると推認される。
三文オペラ 著者:ベルトルト ブレヒト |
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How could any of this be better stated? It coduln't.
投稿: Conyers | 2011年12月11日 (日) 06時41分