江戸川乱歩「智恵の一太郎」
江戸川乱歩が戦争中に「小松竜之介」の変名で書いたもの。
一太郎という少年が知恵を使って日常の小さな問題を解決したり、大人から虫の雑学を教わったり、工場見学したり…。ともかくも一話読み切りなので、どの話から読み始めても差し支えありません。
尚、「智恵の一太郎」は少年向けの教育的な作品であるため、犯罪もエログロ描写も一切ありません。又、謎解きも単純なものばかり(これだけ短いと複雑なものは無理)。正直言って、江戸川乱歩の作品として読むとつまらないです。
ちなみに、最後の工場見学記(P322-330)はプロパガンダ色が強い。アッツ島玉砕を聞いて一太郎が涙を流す(P322)くだりは、彼が軍国少年として成長していることを如実に表わしています。
【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第14巻 新宝島』光文社
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新宝島―江戸川乱歩全集〈第14巻〉 (光文社文庫) 著者:江戸川 乱歩 |
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