エドガ・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」
あらすじ…病み衰えた旧友ロデリック・アッシャーの招きに応じて私はアッシャー家に逗留していたが、やがてロデリックの妹レディー・マデラインが死に、彼女の死体を二人で地下室に運ぶ。7~8日後の嵐の夜、妹はよみがえり、兄を死に至らしめる。私は逃げ出し、旧い街道からアッシャーの屋敷が崩れ落ちるのを目撃する。
さて、この作品をどう評したらいいのだろうか、ちょっと思案に暮れてしまいました。というのは、どいつもこいつも病んでいるような気がして、何だか私もその狂気の影響を受けてしまいそうになるからです。
それから、広大な屋敷が舞台なのに使用人の気配が感じられない。この時代の地方の旧家ならばメイドや執事、従僕などがいてもおかしくないのですが…。というより、病弱なマデラインとロデリックだけで家事をこなせるとは思えない。
まあ、これはちょっと読んだだけでも噴出してくるたくさんの不明瞭な諸点の一つに過ぎないのですが、このような疑問点を洗い出すのは…ちょっとしんどいですかね。
【参考文献】
西崎憲編訳『エドガー・アラン・ポー短篇集』筑摩書房
【関連記事】
・アッシャー家の崩壊(1928年、アメリカ)
・アッシャー家の末裔(1928年、フランス)
津原泰水「蘆屋家の崩壊」
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