藤村幸義『老いはじめた中国』アスキー
国家を人間に喩えて、興隆している時期を「若い」、衰退する時期(本書では「低成長にあえぐ時代」(P003)と表現)を「老い」とするならば、中国は「老い」の兆候が見え始めているという。
その具体例として、一人っ子政策による超高齢化社会、凄まじい環境破壊、経済のバブル崩壊、等々が挙げられています。
さて、その中で「民工荒」という言葉が目をひきました。
上海周辺の外資系企業の場合、いまはまだ賃金を上げさえすれば、労働者を確保することが可能である。しかし、沿海部でも労働条件の悪いところでは、労働者の確保にも苦労するところが現れている。いわゆる「民工荒」と呼ばれる現象である。(P32)
劣悪な労働条件だと人が集まらなくなっているという事態は、いいことです。労働者にとっては労働条件の改善につながるからです。一方、ブラック企業にとっては嬉しくないでしょうけど。
え? マトモな企業だって賃金が上がるんだから嬉しくないだろうって? そりゃあ確かにそうでしょうが、そもそも経済成長すれば賃金が上昇することは火を見るよりも明らかだし、その経済成長に手を貸しているのはユニクロなどの企業たちなんですよ。今になって「中国に進出する時は、中国人の給料が上がるなんて思ってもみなかった」なんて馬鹿なこと言ったりしませんよね?
老いはじめた中国 (アスキー新書 049) 著者:藤村 幸義 |
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