江戸川乱歩「大金塊」
あらすじ…小学6年生の宮瀬不二夫君の家に泥棒が入った。盗まれたのは、埋蔵金の在り処を記した暗号文の断片だった。不二夫の父・宮瀬鉱造が明智小五郎に解決を依頼する。
前半の盗難ではアルセーヌ・ルパンが使ったトリックが流用されていますが、今に始まったことではないのでまあいいでしょう。
それから小林少年を誘拐した手口も、乱歩作品の中で前にも出てきたような記憶があるし、後半の宝探しは「孤島の鬼」と類似しています。
…既視感が半端ない。
最後に一つ、どうでもよいことを。賊に首領にしかるべき名前をつけてやるべきでしたな。
一応、彼女は「今井きよ」(P626)という表の名前を持っているようですが、「黒蜥蜴」や「盲獣」、「二十面相」のようなインパクトのあるネーミングが欲しかった。そうした方がキャラが立ちますから。
【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第13巻 地獄の道化師』光文社
![]() |
![]() |
地獄の道化師―江戸川乱歩全集〈第13巻〉 (光文社文庫) 著者:江戸川 乱歩 |
« 江戸川乱歩「地獄の道化師」 | トップページ | 江戸川乱歩「新宝島」 »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 町田康「桃太郎の伝説」(2023.03.19)
- 司馬遼太郎「最後の攘夷志士」(2022.10.14)
- 司馬遼太郎「浪華城焼打」(2022.10.13)
- 司馬老太郎「彰義隊胸算用」(2022.10.12)
- 司馬遼太郎「死んでも死なぬ」(2022.10.11)
コメント