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池波正太郎「賊将」

 幕末の「人斬り半次郎」こと、明治の陸軍少将で西南戦争では西郷隆盛を担いで戦死した桐野利秋を描いたもの。と同時に、桐野が心酔する西郷隆盛を桐野の視点から描いています。
 ちなみに「人斬り半次郎」としての活躍は、

 とにかく、中村半次郎は薩摩藩の密偵の一人として、藩の動向を遮る者に刃を振う暗殺者の一人として、息をつく間もない明け暮れを……と言うことは、一人前の武士として、働いているという昂奮の中へ、ひたぶるにしがみついて、京の町で暴れ廻っていたのである。(P326-327)

 と、わずか数行で片付けています。そもそも密偵は秘密の行動が多いのでその活動記録は後世に残らないことが多いし、仕事の関係上、色々と汚いこともやらねばならなかっただろうから、著者としてはこの時代はあっさりと済ませて他の部分に紙幅を割いたのではないかと推測いたします。

【参考文献】
池波正太郎『賊将』新潮社

【関連記事】
半次郎
小川原正道『西南戦争 西郷隆盛と日本最後の内戦』中央公論新社

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