江戸川乱歩「大暗室」
あらすじ…有村清(有明友之助)と大野木隆一(大曾根龍次)が対決する。
大野木は東京の地下に巨大なアンダーワールド「大暗室」を構築していますが、彼曰く、「現にこの大暗室には二百に近い男女の命がとじこめられているのです」(P534)とのこと。これは相当の広さでしょうな。
さて、警察はその大暗室を捜すものの、例によって例の如く独力で見つけることはできず、辻堂老人と有村が雇った私設探偵が突き止めています。
しかし彼らの力を使わずとも、警察は組織力で突き止めることもできたのではないかと考えます。以下、思いつくままに書き出してみます。
(1)生活物資
二百人も生活しているとなれば、食料のみならず衣服や燃料など、大量の物資を必要とします。それだけの物資を、倉庫ではなく民家に届けているとしたら…。
(2)掘削機械・工具
地下を掘削するには掘削機械や専用の工具が必要です。それらの流通を辿って行って、しらみ潰しに探していけば…。
(3)埋蔵金
大野木は幕末に埋められた財宝を掘り出して軍資金にしていました。しかし、幕末の財宝(小判?)はそのままでは使えません。それを現金化する必要があり、大野木はどこかに持ち込んで換金しているはずです(それも大量に)。
古物商などを調べて、最近になって膨大な量の財宝を換金している形跡があれば、そこから捜査するのもいい。
【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第10巻 大暗室』光文社
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