中田耕治「日本海軍の秘密」
あらすじ…第一次世界大戦初期。シャーロック・ホームズは兄マイクロフトの密命を受けて日本へ。西園寺公望との会談後、ジャパン・ヘラルドへ行くと、そこでドイツ人が殺されていたことを知らされる。
日本を舞台にしたホームズ・パスティーシュ(シャーロック・ホームズの二次創作)。尚、本作では西園寺公望の他にも歴史上の有名人が登場しますし、ホームズの世界の有名人(ヒント:教授)の影もちらつきます。
ちなみに、最後の最後でホームズが来日した目的がメモによって明らかにされます。
一九一四年十一月十五日、英国政府は秘密覚書で、日本艦隊のダーダネルス海峡派遣を要請したが、日本はこれを拒絶した。英国特使は、同十五日、アメリカ経由で帰国した。
何だ、ホームズは任務に失敗しているじゃないですか。というより、そもそもこれは名探偵がやることとは思えませんな。
このテの交渉は政治力・外交力を必要としますが、そういう仕事は政治家や外交官のほうがうってつけだからです。この時の大英帝国が落ち目にあるとはいえ、その程度の人材が不足していたわけではありますまい。
【参考文献】
北原尚彦・編『日本版シャーロック・ホームズの災難』論創社
【関連記事】
シャーロック・ホームズ(目次)
« ハーレーダビッドソン&マルボロマン(1991年、アメリカ) | トップページ | 都築道夫「ごろつき」 »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 町田康「桃太郎の伝説」(2023.03.19)
- 司馬遼太郎「最後の攘夷志士」(2022.10.14)
- 司馬遼太郎「浪華城焼打」(2022.10.13)
- 司馬老太郎「彰義隊胸算用」(2022.10.12)
- 司馬遼太郎「死んでも死なぬ」(2022.10.11)
コメント