アドルフ・ヒトラー『わが闘争(下)』角川書店(6)
第六章「初期の闘争――演説の重要性」では演説が文筆活動よりも重要であることを説き、大衆をいかにして自分たちの支持者に変えてゆくかが述べられています。
尚、本書では演説のテクニックが載っていたので、一つ紹介します。
どんな演説のときにも、討論のさいにでてきそうな相手の異論の内容や形式を想定して、前もってはっきりとさせておき、そしてこれをさらに自分の演説の中で、手まわしよく残るくまなくやっつけることが重要である。でてきそうな反駁自体をいつもただちにあげて、そしてその根拠の薄弱さを示すことが、その場合有効であった。聴衆は、たとい教え込まれた異論でもっていっぱいつまっていても、それとは別に正直な気持でくるものであるから、かれらの記憶にきざみこまれた疑念を前もって解決しておくことによって、比較的容易にかれらを獲得した。かれらにたたきこまれたものは、おのずから論駁され、その注意をますます演説にひきつけられたのである。(P127)
これを実際に応用するならば、討論に入る前に予め、「○○さんはこれこれこうおっしゃるかもしれないが、それは云々」と、相手の攻撃に先回りして叩いておくということです。無論、これをやるには相手について事前に調べておいて、更には相手の手の内を読む必要があります。
他にも午前の集会で失敗した話(P135-136)なども載っており、なぜ失敗したのかのヒトラーなりの分析(演説の効力の心理的条件)を含めてなかなか興味深い箇所が幾つも見受けられます。興味がある人は、これらから演説・討論のテクニックを学び取ってみるのもいいでしょう。
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わが闘争(下)―国家社会主義運動(角川文庫) 著者:アドルフ・ヒトラー |
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