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渡辺温「氷れる花嫁」

あらすじ…結婚式を挙げた若夫婦が、モンテ・カルロ行きの船に乗り、新婚旅行へ。しかし航海の途中、花嫁は熱病に倒れてしまう。

 シナリオ形式の短い作品。具体的にどんなものかイメージするため、ほんの一部分を引用してみます。

33 舵機――舵のついていない心棒ばかりが波間に空しく廻転した。
34 大洋を走る運命の船。(溶暗)
35 長い夜。おそろしく泡立っている真っ暗な海面。
36 (溶明)朝。青年の船室。
(P304)

 おわかりいただけたでしょうか? 尚、文中の溶暗とはフェードアウト、溶明とはフェードインのことじゃないかと推測します。
 ちなみに、登場人物たちのセリフもあるのですが、数えるほどしかありません。常識的に考えれば彼らはもっとしゃべっているはずですが、そういったことは省かれています。想像で補えってことか。

【参考文献】
『新青年傑作選 爬虫館事件』角川書店

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【追記】
 後日、『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』を読む機会を得ました。それによると、「氷れる花嫁」は脚本として執筆されたもので、渡辺温はこの他にも小説や詩なども書いていたことがわかりました。
 尚、「アンドロギュノスの裔(ちすじ)」など彼の諸作品のレビューを何本か書き上げましたので、いずれブログにて発表して行く所存です。(平成24年5月某日)

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