横溝正史「面影双紙」
あらすじ…大阪の売薬問屋の若主人R・Oが、子供の頃のことを語る。
耽美的な作品。後年の金田一耕助シリーズなどとは異なって、推理を重ねて犯人を突き止める必要はありません。
ちなみに、最後の方、母親が情夫と共に焼け死ぬくだりは手短に述べるにとどめています(わずか数行!)。紙幅の都合で縮めざるをえなかったのか、あるいは作者のモチベーションが尽きて失速したのか、私にはわかりませんし調べる気もありません。
ただ一つ言わせて貰えば、こういう省略の仕方は耽美的だからできることで、本格推理モノでは不可能なことですな。
【参考文献】
『新青年傑作選 爬虫館事件』角川書店
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