ジョン・D・マクドナルド「懐郷病のビュイック」
あらすじ…テキサスの田舎町に、銀行強盗の一団が押し入る。強盗団は金を盗んで逃走するが、その際に強盗の一人が町の住人によって射殺され、一台のビュイックが残された。警察は捜査を開始するが、足取りが杳として知れなかった。
今作で登場する探偵役は、「ピンク・ディーという十四歳の少年」(P188)です。で、この少年探偵は何をするかというと、証拠品のビュイックのラジオをチェックして、そこから推理を展開しています。
しかしながら、所詮は14歳だからせいぜいできることと言えば捜査官にアドバイスすることぐらい。まあ、地道な捜査や銃撃戦はディーには無理。警察に任せておいた方がいいでしょう。
それにしても、さすがはテキサスだと思った点が一つ。強盗団が逃走した時、当然警察が追跡するのですが、「その後には、怒り狂った町の野次馬たちが、ヘンリー・ウィロウズの店から武器供与をうけて従っていた」(P181)とのこと。実に戦闘意欲旺盛な野次馬たちだ。
【参考文献】
早川書房編集部・編『天外消失<世界短篇傑作集>』早川書房
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天外消失 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819) 著者:クレイトン・ロースン,フレドリック・ブラウン,ジョン・D・マクドナルド,ジョルジュ・シムノン,他 |
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