エドガー・アラン・ポー「マリ・ロジェエの迷宮事件」
あらすじ…香水屋の売子マリ・ロジェエが突如として失踪し、数日後、セーヌ川で死体になって浮かんでいるのが発見された。当初はすぐに犯人が見つかるだろうと思われたが、事件は迷宮入り。そこで警視総監Gがデュパンに捜査を依頼する。
副題に「『モルグ街の殺人事件』続篇」とあり、「この事件は、モルグ街の惨劇から、二年ほど後のことだった」(P140)とあるので、「モルグ街の殺人事件」の2年後という設定です。
で、この時デュパンは何をしていたかというと、「僕」との共同生活を続けています。そして、
僕らは、ある研究に、全心を傾けて没頭していたので、二人とも、ほとんど一月間というものは、外出一つしなければ、来客一人迎えたこともない。(P143)
どう見てもヒキコモリです。本当にありがとうございました。
さて、今回の推理でもデュパンの独り語りが延々と続くのですが、捜査手法がちょっと変わっています。新聞各紙の記事を検証し、そこに潜む推測や誤った思い込みなどを入念に排除しながら推理を展開しています。
新聞記事からそこまで読み取ってくれるのはいいとして、同時に誤りも遠慮なく指摘してくれるから、記者としてはありがた迷惑かもしれませんな。
【参考文献】
ポオ作『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』岩波書店
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黒猫・モルグ街の殺人事件 他5編 (岩波文庫 赤 306-1) 著者:ポオ |
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