エドガー・アラン・ポー「天邪鬼」
あらすじ…ある男が、ロウソクに毒を仕込むという方法によって人を殺し、その男の財産を相続する。完全犯罪成功と思われたが、ある時、彼は「天邪鬼」の発作に襲われ、犯行を自白してしまう。
わずか11ページほどの短篇なのですが、そのうちの7ページ半ほども使って長々と能書きをたれています。「ひどく冗長だったかもしれない」(P71)と述べていますが、たしかにその通り。
冗長な部分を削るか、あるいは後半の(割を食って薄くなってしまった)物語描写をもう少し肉厚にしてもよかったかもしれませんな。例えば殺された被害者は、「彼」という語を用いていることから男性であり、加害者が遺産を相続したことから彼の親族である可能性が高いものの、それ以上の詳しいことはわからないといった有様です。
【参考文献】
ポオ作『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』岩波書店
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黒猫・モルグ街の殺人事件 他5編 (岩波文庫 赤 306-1) 著者:ポオ |
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コメント
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いやいや、逆でしょう。
この冗長な部分こそポーが最も伝えたかった部分であり、殺人や人間関係など、「天邪鬼」を主題とする場合取るに足らないものだったのではぶかれているだけ。
緻密に計算された構成だと思います。
投稿: あき | 2012年10月 3日 (水) 23時01分