レジナルド・ヒル、E・D・ホック他『シャーロック・ホームズ クリスマスの依頼人』原書房
シャーロック・ホームズの二次創作(ホームズ・パスティーシュ)で、クリスマスにまつわる14の短篇集。
どうやらシャーロッキアンたちはホームズ(とワトスン)にクリスマス休暇を許さないらしく、次から次へと難事件を持ち込んでホームズに解決させています。…過労死するぞ。
さて、本書に収録された「事件」は以下の通り。尚、カッコ内は作者名です。
クリスマスの依頼人(エドワード・D・ホック)
クリスマス・ツリーの冒険(ウィリアム・L・デアンドリア)
過去のクリスマスの探偵(バーバラ・ポール)
冬の醜聞(ギリアン・リンスコット)
クリスマスの幽霊事件(ビル・クライダー)
クリスマス・シーズンの出来事(ジョン・ステースル)
犬の腹話術師(ジョン・L・ブリーン)
イヴの鐘(アン・ベリー)
笑わない男の事件(J・N・ウィリアムソン)
三人の幽霊(ローレン・エスルマン)
十二夜の盗難(キャロル・ネルソン・ダグラス)
国境地方の冒険(グウェン・モファット)
天使のトランペット(キャロライン・ホイート)
イタリアのシャーロック・ホームズ(レジナルド・ヒル)
このうちの「クリスマスの幽霊事件」と「三人の幽霊」は、ディケンズの『クリスマス・キャロル』を下敷きにしています。詳細はネタバレになるので伏せておきますが、スクルージ氏の前に現われた幽霊たちも、シャーロック・ホームズの手にかかるとただのトリックによる幻覚になってしまいます。まあ、ホームズなら仕方あるまい。
ちなみに、「クリスマスの依頼人」の依頼人はルイス・キャロル(『不思議の国のアリス』の作者)で、犯罪の黒幕は登場しないけれどモリアーティ教授(ホームズの宿敵)です。ホームズが叩き潰した、モリアーティ教授の悪企みのうちの一件、といったところでしょうか。
又、「冬の醜聞」ではアイリーン・アドラー(正典「ボヘミアの醜聞」に登場)が出てきます。ただし、ここで彼女がしたことといえばスイスのホテルへやってきて、そこのリンクでスケートを滑るくらいのもの。ホームズを出し抜いた時のような活躍は望むべくもないほど老いてしまったのか…と、思っていたら、「十二夜の盗難」で…おっと、ここから先は読んでみてからのお楽しみとしましょう。
シャーロック・ホームズ クリスマスの依頼人 著者:レジナルド ヒル,E.D. ホック |
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