エドガー・アラン・ポー「ウィリアム・ウィルソン」
あらすじ…ウィリアム・ウィルソン(仮名)は、寄宿学校で自分と同姓同名の人物に出会い、嫌悪感を抱く。寄宿学校を脱け出した後、ウィリアムが何か決定的な悪事を働こうとするたびに彼が出現して邪魔するようになる。そんなある時、ナポリの仮装舞踏会で彼を捕まえ、決闘の末に剣で刺すが、そこにいたのは鏡に映った血まみれの自分の姿だった。
冒頭の引用文を孫引きになりますが引用します。「そも良心とは? わが行手に立ち阻む、恐ろしの影、良心とは? チェンバレン『ファロニーダ』」(P21)
つまり、もう一人のウィリアム・ウィルソンとは、オリジナルのウィリアム・ウィルソンの良心を具現化したものだったというわけですか。
また、「恐ろしの影」とあることから、ユング心理学のシャドウの概念からこれを考察してみるのも面白いかもしれません(私は心理学から離れているのでやりませんが)。
最後に蛇足を一つ。寄宿学校の描写が少々冗長であったように感じました。
【参考文献】
ポオ作『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』岩波書店
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黒猫・モルグ街の殺人事件 他5編 (岩波文庫 赤 306-1) 著者:ポオ |
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