アドルフ・ヒトラー『わが闘争(下)』角川書店(3)
第三章「国籍所有者と国家の市民」(P92-95)は、前章(第二章 国家)が重厚なのに較べてページ数が少なく、喩えるなら『源氏物語』の「葵」の後の「花散里」のような小休止的存在となっています。
さて、本章を簡潔に要約するならば、以下の通り。
民族主義国家は、その住民を三階級にわける。すなわち、国家市民、国籍所有者、および外人である。(P94)
住民を三種類に分けるのではなく、三階級に分けるとあります。つまり、階級という言葉を使う以上、国家市民、国籍所有者、外人には上下関係が存在するということです。もちろん一番上には国家市民、次いで国籍所有者、そして一番下に外人が位置するわけですな。
では、国家市民と国籍所有者の違いは何か? 「国籍をもつというだけでは、まだ公的な官職につく資格がなく、また積極的にも消極的にも、選挙へ関与する意味で政治的に活動する権利もない」(P94)とあることから考えるに、国家市民は公的な官職に就く資格と、参政権を持っているのに対し、ただの国籍所有者はそれらを持たないということなのでしょう。
それではどうすれば国籍所有者が国家市民になれるのかというと、「非のうちどころのない健康な青年には、兵役義務の終了後その結果として、堂々と国家市民権が授与される」(P95)そうですから、男はまず軍隊へ行かないといけないようです(女性は別)。軟弱者には無理な話ですね。
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わが闘争(下)―国家社会主義運動(角川文庫) 著者:アドルフ・ヒトラー |
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