塩野七生『日本人へ 国家と歴史篇』文藝春秋
『ローマ人への手紙』で有名な作家のエッセイ。自著のことのみならず、政治や映画、ワインなど話題は多岐にわたっています。
さて、今回取り上げるのは、「安倍首相擁護論」(P77-82)。
…え? もう終わったやつのことなんかどうでもいいって? まあまあ、そんなに長々と述べないつもりなので少々ご辛抱あれ。
この文章が書かれたのは2007年参議院選挙の直前。自民党の敗北は必定との情勢下で、安倍首相の続投が「今の段階で、とりうる最良の選択であると思っている」(P80-81)と主張しています。以下、その理由について。
理由の第一は、猫の目の如く首相が代わっていた小泉以前の時代に再びもどることは、現在の日本はもはや耐えられない状態にあるということ。(P81)
第二第三の理由は(もしあるのならば)紙幅の都合で書かれていません。いずれにせよ不幸なことに、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と1年ごとに首相がコロコロと交代し、さらに民主党政権になっても鳩山由紀夫が1年もたずに辞任。そして今また菅下ろしの風が吹き荒れるといった具合です。
別に菅直人総理を擁護するわけではありませんが、いいかげんどこかでこの短命の連鎖を断たないといけません。
小沢一郎が菅下ろしに動いているようですが、小沢は「神輿(みこし)は軽くてパーがいい」と思っている人で、事実彼が担ぎ上げた某首相は発言がブレまくって(軽いとこうなる)、ルーピー(愚か者という意味)と呼ばれる始末。今度は誰を担ぐのか知りませんが、どうせまた「軽くてパー」でしょうから、そいつが首相になると長期安定政権など望むべくもない。
そういえば、本書で「拝啓 小沢一郎様」(P186-190)という提言があるので、私もそれにならって一つだけ提言させていただきます。
拝啓 小沢一郎様。どうせなら自分とタメ張れるくらい強いやつを担いでみやがれ。
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