コナン・ドイル『緋色の研究』新潮社
シャーロック・ホームズの初登場作品。私はホームズの二次創作を何冊かレビューしてきましたが、「正典」を扱うのはこれが初めてだったりします。
それはさておき、本書のP24-25にはワトスンがホームズを観察した結果の一覧表が掲載されております。ちょっと長くなりますが、引用してみます。
シャーロック・ホームズの特異点
一、文学の知識――ゼロ。
二、哲学の知識――ゼロ。
三、天文学の知識――ゼロ。
四、政治上の知識――微量。
五、植物の知識――不定。ベラドンナ、阿片、その他一般毒物にはくわしいが、園芸に関してはまったく無知。
六、地質学の知識――限られてはいるがきわめて実用的。(略)
七、化学の知識――深遠。
八、解剖学の知識――精確ではあるが組織的ではない。
九、通俗文学の知識――該博。今世紀に起きた恐るべき犯罪はすべて詳細に知っている。
一〇、ヴァイオリンを巧みに奏す。
一一、棒術、拳闘および剣術の達人。
一二、イギリス法律の実用的知識深い。
もちろんこれは二人が出会って間もない段階での観察の結果です。ホームズが「バリーツ」を使えることやコカインをやることなどは書いていませんし、「四、政治上の知識」だってホームズの名声が上がるにつれて政治家や王侯貴族から依頼が来るようになるとその方面の知識を増やしたはずです。又、解剖学の知識が組織的ではないということは、学校で組織的に学んだのではなく、独学で習得したものだと推測されます。
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