江戸川乱歩「一枚の切符」
あらすじ…富田博士夫人が列車に轢き殺される。当初は自殺かと思われたが、調べてみると夫人は毒殺されていたことがわかり、夫の富田博士が殺人容疑で逮捕される。左右田五郎は現場で拾った一枚の切符を手がかりにして博士の無実を証明する。
語り手の左右田五郎にせよ、聞き手の松村にせよ、名前が途中から登場します。名探偵が自分の正体を明かすといったような演出ならともかく、この場合はお互いに相手の正体を知っているようだから、そのテの演出ではありません。
推測するに、最初からキャラクター設定をしっかりと固めておかないうちに書き始め、書いている途中で名前を出した方がいいと判断して急遽拵えたのではないでしょうか。
【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者』光文社
【関連記事】
江戸川乱歩(目次)
« 江戸川乱歩「二銭銅貨」 | トップページ | 海野弘『秘密結社の日本史』平凡社 »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 町田康「桃太郎の伝説」(2023.03.19)
- 司馬遼太郎「最後の攘夷志士」(2022.10.14)
- 司馬遼太郎「浪華城焼打」(2022.10.13)
- 司馬老太郎「彰義隊胸算用」(2022.10.12)
- 司馬遼太郎「死んでも死なぬ」(2022.10.11)
コメント