江戸川乱歩「赤い部屋」
あらすじ…赤い部屋に男たちが集まり怪異な話を語るという会合で、一人の新入りが法律に触れないでたくさんの人を殺してきたことを語る。
ネタバレをするので、結末を知りたくない方は読まないで下さい。
ぶっちゃけて言うとこの男の話は「始めから了いまで、みんな作りごと」(P337)です。そして最後に電燈がつけられ、このように締めくくっています。
「赤い部屋」の中には、どこの隅を探して見ても、最早や、夢も幻も、影さえ止めていないのだった。(P338)
つまりこの男が語った数々の殺人劇は夢・幻だったわけですな。小説もまたかくのごとし。読者は作家が紡ぎ出す夢・幻を味わうのですから。
ちなみに、最初は実話だと思わせておいて、最後に「フィクションでした」とネタバラシするパターンは、「人間椅子」にも見られます。
【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者』光文社
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