江戸川乱歩「黄金仮面」
あらすじ…黄金の仮面をかぶった怪人が出没し、財宝を盗み出していた。素人探偵明智小五郎が立ち向かう。
まず最初に、重大なネタバレとなってしまうかもしれませんが、黄金仮面の正体を明かしておきます。それはフランスの怪盗アルセーヌ・ルパンです。なぜバラしたのかというと、本編を読む前に目次を眺めれば察しがついてしまうからです。
明智小五郎VSアルセーヌ・ルパン!!!
こんな有名人を引っ張り出してきちゃっていいのか!? …でも、よくよく考えてみたら、モーリス・ルブランだって『ルパン対ホームズ』でシャーロック・ホームズを使っているから、お互い様ですな。
さて、本作では銃撃あり、大爆破あり、カーチェイスありの、大冒険活劇となっています。しかも、ルパンが盗んだお宝の中には、玉虫厨子という教科書に載るくらい有名な国宝も含まれています。アルセーヌ・ルパンほどの「大物」ともなれば、これくらいやらないと釣り合わないのかもしれません。
又、シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパンの「正典」などで使われたトリックが流用されているし(詳細は巻末の註釈を参照されたし)、エドガー・アラン・ポー「赤き死の仮面」も巧みに作品に織り交ぜられていて、これらを読んだことのある人にとってはそれなりの味わいがあるでしょう。
【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第7巻 黄金仮面』光文社
【関連記事】
江戸川乱歩(目次)
« 江戸川乱歩「何者」 | トップページ | R25編集部=編『大人力がさりげなく身につくR25的ブックナビ』日本経済新聞社 »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(6)ボズワースの戦い(2024.06.06)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(5)第二の求婚(2024.06.05)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(4)処刑と暗殺(2024.06.04)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(3)アン・ネヴィルへの求婚(2024.06.03)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(2)クラレンス公ジョージ(2024.06.02)
« 江戸川乱歩「何者」 | トップページ | R25編集部=編『大人力がさりげなく身につくR25的ブックナビ』日本経済新聞社 »
コメント