中野京子『怖い絵』朝日出版社
「怖い」西洋絵画に解説を付したもの。
作品9 ゴヤ『わが子を喰らうサトゥルヌス』(P102)や作品10 アルテミジア・ジェンティレンスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』(P114)、作品12 ベーコン『ベラスケス<教皇インノケンティウス十世像>による習作』(P140)など、解説を読まなくても怖さがわかるものもあれば、作品5 ブロンツィーノ『愛の寓意』(P56)のように難解で高度な教養を要求されるものもあります。
それにしても、作品12はローマ法王(およびカトリック)に対する悪意がひしひしと伝わってくるし、作品17 レーピン『イワン雷帝とその息子』(P202)は「歴史画の装いをこらした現体制批判の絵画」(P210)だったりと、政治的メッセージが込められたものもあり、芸術好きでなくとも歴史好きならそういったアプローチから本書の世界に入っていくことができるでしょう。
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怖い絵 著者:中野 京子 |
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