江戸川乱歩「目羅博士の不思議な犯罪」
あらすじ…作者(江戸川乱歩)は上野の動物園で、不思議な男と出会う。そして、その男から、眼科医・目羅博士の不思議な犯罪の話を聞く。
借主が三人も続けて「自殺」したというのなら、今だったら都市伝説として話題になるだろうし、新しい借り主には告知義務が生じるでしょう。
それはさておき、目羅博士はなぜかくも不思議な犯罪に手を染めるようになったのか?
「目羅博士の殺人の動機ですか。それは探偵小説家のあなたには、申し上げるまでもないことです。何の動機がなくても、人は殺人の為に殺人を犯すのだということを、知り抜いていらっしゃるあなたにはね」(P40)
語り手はそう言って話を打ち切っています。動機の方には興味がないのでしょうか。
それでは一つ、私の推理を申し上げることにしましょう。当たっているかどうかはわかりませんが…。
まず、目羅博士は「幻怪なトリック」(P38)の理論を思い付いてしまった。のみならず、科学者としてそれを実証しようとしました。最初は手を上げたり足を振ったりといった他愛のない行動をさせていたが、次第にエスカレートしていき、ついには相手の防衛本能をも打ち破る(=自殺させる)までに至ったのではないでしょうか。
目羅博士はいわゆるマッドサイエンティストなのでしょう。
【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第8巻 目羅博士の不思議な犯罪』
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