江戸川乱歩「人でなしの恋」
あらすじ…京子はお金持ちの門野家に嫁ぐが、夫は人形に恋していた。怒った京子はその人形をひそかに滅茶苦茶に壊しておく。そして、人形が無残な状態になっているのを知った夫は自殺する。
本作は、京子が事件からある程度(10年以前)経ってから独白する、という形をとっています。時間の経過によって自分の心理状態を客観的に語ることが一定程度可能になっているようです。とはいえ、夫の方の心理状態は妻に対する態度や人形との逢瀬での言葉から推測するより他はなく、この独白でも妻の心理描写が多いのに対して夫の心理描写は圧倒的に少ない。
まあ、その女性は当時「十九の小娘」(P208)だったそうですから、そこまで気が回らなくても仕方がないでしょう。
【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』光文社
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