吉本隆明『日本近代文学の名作』新潮社
日本の近代文学24点のレビュー本。尚、本書で取り上げられた「名作」は以下の通り。
・夏目漱石『こころ』
・高村光太郎『道程』
・森鴎外『高瀬舟』
・芥川龍之介『玄鶴山房』
・宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
・江戸川乱歩『陰獣』
・横光利一『機械』
・川端康成『雪国』
・保田與重郎『日本の橋』
・吉川英治『宮本武蔵』
・中野重治『歌のわかれ』
・谷崎潤一郎『細雪』
・小林秀雄『無常といふ事』
・坂口安吾『白痴』
・太宰治『斜陽』
・柳田國男『海上の道』
・折口信夫『日琉語族論』
・中原中也『在りし日の歌』
・萩原朔太郎『月に吠える』
・岡本かの子『花は頸し』
・志賀直哉『暗夜行路』
・田山花袋『田舎教師』
・島崎藤村『春』
・二葉亭四迷『平凡』
このうち、私が読んだことのある作品は「こころ」「玄鶴山房」「銀河鉄道の夜」の3点のみ(本記事投稿時点)。文学マニアにとっては少ないと感じるかもしれないし、それほど本を読まない人よりは多いかもしれません。
ちなみに「玄鶴山房」は芥川龍之介作品の中ではマイナーな方で、私は中学か高校の頃に一度読んだきりで内容を思い出すのにちょっと時間がかかりました。
とはいえ、どの作品をレビューするかはレビューする側の自由なので(しかも吉本隆明くらいの大家ともなれば、編集者からの「先生、今回は『○○』を評論してください」という要請にも拒否権を行使できたことでしょう)、それはそれで構いません。
ところで、夏目漱石『こころ』の、後半の主人公である「先生」と、その友人K、そして下宿先の娘の三角関係について、このようなことを述べています。
また違う解釈もできる。本当は親友を出し抜いてしまったという問題ではなくて、一緒に下宿していた親友と自分とが同性愛的な親密さを持っていた。それが、たまたま女性の介在を経験して破れる形になってしまったことのほうが主人公にとっては大きなショックだった、という裏の解釈だ。(P19)
アッー! そうか、言われてみれば先生とKの関係はホモソーシャルだなと気付きました。オスカー・ワイルドやレスリングシリーズなどを通じて同性愛の知識を蓄えた今だからわかるところがあります。
【参考文献】
吉本隆明『日本近代文学の名作』新潮社
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