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江戸川乱歩「芋虫」

あらすじ…時子は、戦争で両手両足、聴覚、声帯を失った夫を介護している。そして、夫と「けだもの」のように交わって暮らしていた。あんなある時、時子は夫の両目を潰してしまう。夫は「ユルス」と書き残して古井戸に身を投じる。

 「自作解説」によると、

 細君が『いやらしい、こんな残酷なものおよしなさい』と云った。芸妓で『あれを読んだらごはんが頂けなかった』と告白したもの二三に止まらなかった。(P705)

 と、著者は述べていますが、確かにそう感じるのも無理はないエログロさがあります。最後に夫が芋虫のように這って古井戸に投身自殺するところを、時子の目の前で展開させているのもエグい。子供が読んだらトラウマになるかもしれません。
 そんなわけで、心の弱い人は読まないように。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』光文社

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江戸川乱歩「陰獣」

あらすじ…探偵小説家の寒川は、ふとしたことで小山田静子と出会う。寒川の小説の愛読者だった静子との間で文通が始まるが、ある時、静子から相談を受ける。昔の恋人で、今は探偵小説家の大江春泥と名乗っている平田一郎から脅迫されている、と。

 本作品ではSMプレイが登場します。小山田六郎・静子夫妻のみならず、寒川と静子のSMプレイも描写されており、クライマックス(第十一章)での謎解きの場面でも寒川がムチを振るっています。
 だとすると、第十一章で寒川が静子を詰問するのも、一種の(精神的な)SMプレイだと思えてきます。いわゆる言葉責めですな。

 ところで、「陰獣」は寒川をフランス人小説家に置き換えた映画作品が存在しており、その予告編をネット動画でチラリと視聴したことがありますが、映画そのものは観ておりません。そのうち観ておきたいものだと思っています。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』光文社

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江戸川乱歩「鏡地獄」

あらすじ…レンズと鏡に狂った男が、研究所を建ててそこで様々な鏡像の仕掛けを作り出す。そしてついに、内面が鏡になっている球体の中に入り、発狂する。

 合わせ鏡というものをやったことがありますが、不思議な怖い感じが記憶にこびりついています。あの鏡の中の鏡の世界はどこまで続いているんだろうか、と。
 たった2枚の普通の鏡だけでその有様です。で、球体の鏡という特殊なものとなるといったいどうなるんでしょうか? う~ん、見てみたい気もするんですが、金を払ってまで見る気はないんですよねえ。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』光文社

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good Luck Trip 東京 2011 February March

 外国人旅行者向けのフリーマガジンで、英語・中国語・韓国語で表記されています。
 今号の特集1は「Find Some Amazing Japanese-made Product!」(P5-18)、魅力的な日本製品の数々を紹介しています。ヒアルロン酸の保湿化粧水(P6)やカシオの腕時計(P8)、浮世絵版画(P10)なんてものもあります。もちろん、PRする対象が外国人観光客ですので、彼らが土産として持って帰ることのできる程度の大きさ・重さの商品ばかりとなっています。
 そして特集2は「NARITA」(P25-35)。前半は成田山新勝寺、後半は成田空港を取り上げています。ああ、成田山新勝寺は10年くらい前に行ったことがありますな。そうそう、あの時はクソ暑い中、キュウリを食べましたっけ。

http://www.goodlucktrip.jp

Goodluck

江戸川乱歩「人でなしの恋」

あらすじ…京子はお金持ちの門野家に嫁ぐが、夫は人形に恋していた。怒った京子はその人形をひそかに滅茶苦茶に壊しておく。そして、人形が無残な状態になっているのを知った夫は自殺する。

 本作は、京子が事件からある程度(10年以前)経ってから独白する、という形をとっています。時間の経過によって自分の心理状態を客観的に語ることが一定程度可能になっているようです。とはいえ、夫の方の心理状態は妻に対する態度や人形との逢瀬での言葉から推測するより他はなく、この独白でも妻の心理描写が多いのに対して夫の心理描写は圧倒的に少ない。
 まあ、その女性は当時「十九の小娘」(P208)だったそうですから、そこまで気が回らなくても仕方がないでしょう。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』光文社

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地震の際の情報源

 地震の際の情報源として、私はラジオをよく利用していました。大きいのがグラグラっと来たら、ラジオを着ける。ラジオは大抵の時間、生放送ですから、パーソナリティが番組の進行を一時中断して地震速報を流してくれるのです。

ブログネタ: 地震のとき、一番の情報源はどこ?参加数拍手

セ・リーグの開幕騒動について

 セ・リーグの開幕騒動について少々。

 プロ野球にも利権というものが存在します(例:放映権料)。で、セ・リーグはそれを守りたかったものと思われます。

 ただし、世間がそれを許さなかったわけですな。

ブログネタ: セ・リーグの開幕騒動、どう思う?参加数拍手

江戸川乱歩「お勢登場」

あらすじ…肺病を患って余命わずかの格太郎は、妻おせい(お勢)の不倫にそ知らぬふりをしている。そんなある日、子供たちとかくれんぼをして、押入れの長持ちの中へ隠れるが、そこから出られなくなってしまう。もうだめかと虫の息でいるところへおせいが帰宅する。おせいは異変に気付いて一旦は長持ちを開けるが、すぐにまた閉めて格太郎を見殺しにする。

 前半は格太郎視点、後半はおせい視点で物語が展開します。しかも、この話では夫殺しの「完全犯罪」が成立しておせいが罪に問われることなく終わっています。
 めでたしめでたし…なわけないか。
 ところで、「問題の長持ちは、おせいが強いて貰い受けて、彼女から密に古道具屋に売払われた。」(P190)とあります。「一生遊んで暮らせる以上の夫の遺産」(P186)があるのだから、金に困って売ったわけではありません。縁起でもないからと言って廃棄すればいいものを、なぜどこの誰とも知れぬ者の手に渡るようにしたのか理解に苦しみます。
 と、ここまで書いてきて、ふとひらめきました。そういう「いわくつき」の長持ちが今もどこかに存在していることの不気味さを作者(江戸川乱歩)が演出したかったのではないか、と。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』光文社

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岡本まい『「危ない」世界の歩き方』彩図社

 ジャマイカやケニア、ブロンクスなどの治安の悪いところや、メキシコのゲリラの街など、危険な場所を歩き回った著者の体験が綴られています。
 当然のことながら、窃盗やボッタクリに遭ったり、更にレイプされそうになったりしています。インドネシアでロンボクマジックという呪いをかけられた(P66)、マサイマラでバブーンに襲撃された(P88)なんてものもあります。
 この著者(オカマイ)は現代の冒険者ですな。カタギやヘタレでは行けないような場所に、私たちの代わりに行ってあちらの情報をこちらに持ってきてくれています。その点では、貴重な人種です。

「危ない」世界の歩き方 Book 「危ない」世界の歩き方

著者:岡本 まい
販売元:彩図社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

江戸川乱歩「火星の運河」

あらすじ…「私」はずっと森の中をさまよっていた。すると、森の中の沼へ出た。

 タイトルだけ見るとSFっぽいのですが、内容はさにあらず。ネタバレ覚悟で言わせてもらうと(短篇だし、ミステリーのような謎解きもないのでいいですよね?)、夢オチです。
 何だ、夢オチかよ! と突っ込みたくなりますが、よくよく読んでみると、夢であることを示唆する表現があることに気付きます。例えば、「音もなく、匂いもなく、肌触りさえない世界」(P106)とか、なぜか「私」が裸体(しかも女性の裸体!)だったりとか…。又、長い間森の中をさまよっているのに食料の心配が全然ないし、自らの体を傷付けた時に痛みを感じていたフシもありませんな。
 勘のいい読者なら、最後まで読まずともこれらの非現実感から「これは夢の世界じゃないか」と推理できることでしょう。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』光文社

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江戸川乱歩「灰神楽」

あらすじ…貧乏画家の庄太郎は恋敵にしてパトロンの奥村一郎を、口論の末に殺してしまう。庄太郎はどうにかして殺人の嫌疑を晴らそうと賭けに出る。

 策士策に溺れるといいますが、この庄太郎の場合は策士と呼ぶにはお粗末すぎて、すぐに尻尾を出しています。
 そもそもこの犯罪が計画的なものではなく偶発的なものであったこと、そして庄太郎はただの「貧乏画かき」(P81)で殺人を犯すには荷が重すぎたこと、殺害の動機があったことなど、うまく逃げおおせるのに不利な条件が揃っていました。これでは下手な小細工を弄さなくとも、いずれは捕まっていたんじゃないでしょうか。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』光文社

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江戸川乱歩「踊る一寸法師」

 少しばかり読んでみて、石井輝男監督の映画「盲獣VS一寸法師」の、一寸法師の回想シーンに使われた作品じゃないかと気付きました。あのカルト映画の原作は「盲獣」「一寸法師」ばかりだと思っていたから、意表を突かれた感じがしました。
 ちなみに映画の方では箱に刀を突き刺すマジックや、一寸法師が月を背に踊るシーン等は省略しています。これはこれで強烈だから、下手に入れてしまうと大変なことになったかもしれません。省略して正解だったと思います。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣』光文社

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アガサ・クリスティー『スタイルズ荘の怪事件』早川書房

 アガサ・クリスティー並びに名探偵エルキュール・ポアロのデビュー作。
 私は数年前にドラマ版をギャオで観ていたので、『そして誰もいなくなった』を読んだ時とは異なり、犯人探しをする必要はありませんでした。とはいえ、ドラマ版は一度観たきりだったのでトリックの細かい内容は記憶に残っておらず、本書を読むことで再確認することができました。

 それにしても、ヘイスティングズが「たまたま」出会った友人の誘いで彼の母親が住む家で療養している時に、その母親が世話している亡命ベルギー人の中に「たまたま」ポアロがいて衝撃の再会、そして殺人事件が発生。現実社会ではありえないくらいものすごく確率が低い展開なのですが、これはまあご都合主義ということにしておきましょう。「名探偵コナン」だって旅行先で必ずといってよいほど殺人事件に遭遇していますし。

スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Book スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

著者:アガサ クリスティー
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

内藤陽介『事情のある国の切手ほど面白い』メディアファクトリー

 切手コレクターである著者が世界各国の切手からそれぞれの国の事情を読み取って行く、というもの。
 イラン(P36)や北朝鮮(P57)などのようにプロパガンダとして活用しているところや、ジンバブエの額面のない切手(P112)のように経済状態(ハイパーインフレが凄くて新しい額面の切手の製造が追いつかない)が透けて見えるところ、グレナダ(P158)やシエラレオネ(P171)などの外貨の獲得手段として発行するところなどを紹介。
 ちなみに、今内戦で話題のリビアも取り上げられています。(P88-93)

 1942年生まれのカダフィは、御年68歳。同い年の「将軍様」こと金正日には健康不安説がつきまとうのを尻目に、最長不倒独裁政権の記録更新をまだまだ続けそうだ。(P93)

 これが書かれたのはチュニジアのジャスミン革命前ですし、まさかそれがエジプトに波及してムバラク政権を倒し、更にはリビアに波及してカダフィを倒さんとしているとは予想が付かなくても無理はありますまい。
 でも、P88の地図を見たら、リビアってチュニジアとエジプトの隣国なんですよねえ。つまり、リビア人の目の前で2つの独裁政権が倒れてしまったわけですから、何らかの影響は免れることはできなかったのですな。

事情のある国の切手ほど面白い (メディアファクトリー新書) Book 事情のある国の切手ほど面白い (メディアファクトリー新書)

著者:内藤 陽介
販売元:メディアファクトリー
Amazon.co.jpで詳細を確認する

『おまけフィギュア海洋堂全カタログ――チョコエッグから最新食玩フィギュアまで――』朝日ソノラマ

 海洋堂製作のおまけフィギュア534種を収録したもの。
 私はフィギュアのコレクターではありませんが、妖怪好きなので本書の百鬼夜行妖怪コレクション(P36-47)は興味深く読ませていただきました。ここに収録されている妖怪の中には、鳥山石燕の著作から採ったものもあって面白い。
 他にも恐竜や戦車、深海生物のフィギュアも収録されており、そちらが好きな人はそちらに注目することでしょう。

おまけフィギュア海洋堂全カタログ (ソノラマMOOK)
Book
おまけフィギュア海洋堂全カタログ (ソノラマMOOK)
販売元 朝日ソノラマ
定価(税込) ¥ 980

入江敦彦『怖いこわい京都』新潮社

 京都にある「恐怖」を、京都出身の著者が綴るエッセイ。
 清滝トンネル(P87)や南禅寺(P103)など有名どころもありますが、地元の人間にしかわからないローカルなスポットも結構取り上げられており、例えば櫟谷七野神社(P129)なんて初めて知りました。
 又、「ゆっくりババァ」(P206)とか「幽霊街道」(P272)のように都市伝説っぽい話もあります。…ゆっくりババァは本書によると著者(入江敦彦)の近所に実際に住んでいたそうですが。

 ところで、貴船神社(P141)について述べたくだりに、こんな一節がありました。

 基本的に呪詛は手順を違えると、かけた本人に跳ね返ると相場が決まっている。みんな怖くはないのだろうか。確かに貴船神社は平安時代から丑の刻参りの本場だけれど、だからって褒められた行為ではない。みんな思い出作りかなにかと間違えているのではなかろうか。青春の記念に呪ってみました。みたいな。(P142)

 それでは呪詛をかけた、もしくはこれからかけてやろうと思っている人に質問です。呪詛の正しい手順を知っていますか? 呪詛には丑の刻参り以外にも様々なものがありますが、少なくとも丑の刻参りを正しくやろうとすると、並の観光客には到底できない(衣装と道具を用意するだけでも大変だ!)。
 もっとも、困難であればあるほど、それだけ呪力が強いと考えられるのですが…。

ゆっくりババァ

怖いこわい京都 (新潮文庫) Book 怖いこわい京都 (新潮文庫)

著者:入江 敦彦
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

江戸川乱歩「盲獣」

 盲目の殺人鬼(盲獣)が女性を次から次へと惨殺し、その死体をバラバラに切断していきます。そして作者は終盤に至ってこのようなことを述べています。
「作者はこの盲目の殺人淫楽者について、余りにも長々と語り過ぎた様である。」(P583)
 さらに、
「作者も飽きた、読者諸君も恐らくは飽き果てられた事であろう。」(P584)
 はい、ここまで読んできて、もうお腹いっぱいでした。いえね、鎌倉の人肉ハムを食らったわけではないのですが、怪奇趣味もここまで続くと精神的にヘトヘトになって、ついて行けませんわ。
 そのため、P592-594の「触覚芸術論」をまともに読む気にはなれず、斜め読みで済ませてしまいました。

最後に一言:グロ注意。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男』光文社

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江戸川乱歩「一寸法師」

 この作品の冒頭に、いわゆるハッテン場の描写が出てきます。それはこの作品の主人公、小林紋三が「春の夜の浅草公園」(P497)を散歩しているくだり。

 その間を奇妙な散歩者が歩くのだった。寝床を探す浮浪人、刑事、サーベルをガチャガチャいわせて三十分ごとに巡回する正服巡査、紋三と同じ様な猟奇者、などがその主なものであったが、外にそれらのいずれにも属しない一種異様の人種があった。彼等は一寸その辺のベンチに腰をおろしたかと思うと、じきに立上って同じ道を幾度となく往復した。そして木立の間の暗い細道などで外の散歩者に出逢うと、意味ありげに相手の顔をのぞき込んで見たり、自分でもそれを持っている癖に、相手のマッチを借りて見たりした。彼等は極めて綺麗にひげをそって、つるつるした顔をしていた。縞の着物に角帯など締ているのが多かった。
 紋三は以前からこれらの人物に一種の興味を感じていた。どうかして正体をつきとめて見たいと思った。彼等の歩きっぷりなどから、あることを想像しないでもなかったが、それにしては、皆三十四十の汚らしい年寄りなのが変だった。
(P500-501)

 その後、遊び人風の男と、小役人のような男が「ボソボソと話し合って」(P503)、「ベンチから立上り、ほとんど腕を組まんばかりにして山を下りて行くのだった」(P504)とあります。
 そして、本書の註釈によると、「後述の遊び人風の男と小役人風の男の二人を含むここの描写は、同性愛者のナンパ・スポット(いわゆるハッテンバ)のことと思われる。」(P739)とのこと。
 P699の「解題」によると、「一寸法師」の連載は大正15年~昭和2年ですので、その頃には既にハッテン場が存在していたことになります。こんな時代からあったとは…。

 ちなみに本作品を映画化した「盲獣VS一寸法師」(石井輝男監督)では、この二人のホモは男娼と客に置き換えられています。ハッテン場よりも、男同士の売買春の方がまだ一般的にわかりやすいのでしょう。
 ともあれ、夜の公園というだけでも異界的雰囲気を漂わせているというのに、その上さらに同性愛者の世界とすることでその異界的雰囲気を倍加させ、この後の一寸法師(女の生腕を持った、小人症の男)の登場をより怪奇なものに演出しているようです。

最後に一言:私はノンケです。

【参考文献】
『江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚』光文社

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盲獣VS一寸法師(2001年、日本)

監督:石井輝男
出演:リリー・フランキー、塚本晋也、平山久能、リトル・フランキー、藤田むつみ、橋本麗香
原作:江戸川乱歩「一寸法師」「盲獣」「踊る一寸法師」
備考:カルト映画

あらすじ…売れない小説家の小林紋三は、浅草レビューのスター・水木蘭子の舞台を見に行くが、隣に座った男はなぜか終始俯いたままだった。そしてその帰り道、紋三は女の生腕を持った一寸法師に遭遇する。

 本作品は江戸川乱歩の小説「一寸法師」と「盲獣」を合わせたもので、光文社文庫版の江戸川乱歩全集では、「一寸法師」は第2巻、「盲獣」は第5巻に収録されています。近所の図書館でちょっと探したら光文社文庫版の江戸川乱歩全集があり、第2巻と第5巻を借りて両作品を読んでみた次第です(このページは映画作品をレビューするところですので、小説作品のレビューはページを改めて行なうことにします)。尚、このページで引用される「原作」は全てこの光文社文庫版です。

 さて、この作品の舞台となったのはいつの時代でしょうか?
 原作の「一寸法師」は、

 日刊紙「東京朝日新聞」(朝日新聞社[初])に大正十五(一九二六)年十二月八日から翌昭和二年二月二十日まで六十七回、「大阪朝日新聞」([大])に昭和二年二月二十一日まで六十六回、おりおり休載を挟み並行掲載された。(P699、『江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚』光文社)

 一方、「盲獣」は、

 月刊誌「朝日」(博文館[初])に昭和六(一九三一)年二月から翌七年三月まで連載されたのち(昭和六年八月、十一月、十二月は休載)、昭和七年三月、平凡社版『江戸川乱歩全集』([平])の第九巻として刊行された。(P627、『江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男』光文社)

 とあるので、映画の舞台は大体のところ大正末期~昭和初期の東京だということがわかります。シャーロッキアンなら細かな事象を取り上げて、もっと厳密な年代測定をやるところでしょうが、私はそこまでやらずとも、おおよその時代がわかればそれで結構と思っています。
 で、このインディーズ映画は低予算の中でその時代っぽさを映し出すのに苦労している跡が見え隠れしました。例えば建物や街灯にしても、明らかに戦後にしか存在しない様式が映像の中にあったらいけない。そのため、街の中でのシーンは不自然なアングルが見受けられます。大きなセットを組めばその問題は解決されるかもしれませんが、インディーズ映画にそんな予算はないのでこうなったのでしょう。

 ところで、明智小五郎はなぜかチャイナ服を着ていますが、その疑問は原作を読んで氷解しました。原作「一寸法師」によるとこの時の明智小五郎は上海帰りであり(なぜ上海に行っていたかは不明)、このチャイナ服(原作では「支邦服」と表記)は「上海から持って来た」(P526)とのこと。
 又、明智小五郎は一寸法師に対して大捕物を展開するなど色々と活躍を見せているのですが、一方の盲獣に対してはさしたる活躍をしていません(殺人防御にも失敗している)。なぜこうなったのかというと、原作の「盲獣」に明智小五郎が全然登場しないからです。かの素人探偵を縦横無尽に活躍させたければストーリーを大幅に改変する必要が出てきますが、さすがにそれはしなかったようです。
 ただ、結末は少し変えてあります。ここから先は少々のネタバレになるので、まだ知りたくない人は読み飛ばしてください。
 盲獣が最後に作った「芸術作品」は、原作では展覧会に展示され、世間の注目を集めるのですが、この映画では「こんなものは芸術ではない!」と否定されて叩き壊されています。
 なるほど、倫理的なところで踏みとどまったな、と感じました。やはりそうでなくては救いがありませんから。

 さて、最後に出演者の演技について。主演のリリー・フランキーのセリフが棒読みなのは、彼が俳優ではないというとで大目に見るとしましょう。
 又、一寸法師を演じたリトル・フランキーは、リリー・フランキーよりも幾分上手ですが、セリフが棒読みになっているところが見受けられました。とはいえ、自らの身体の劣等感コンプレックスを語るくだりは、本物の身体を持つだけに凄味が感じられます。
 一方、盲獣を演じた平山久能は怪演が光っていましたな。例えば美術館で水木蘭子に握手を求めるものの逃げられてしまった時に、泣いているのか笑っているのかわからない声を上げているところは実に不気味です。又、水木蘭子から顔にツバをはきかけられた時、手でそのツバを拭ってペロペロと舐めるくだりも変態的で面白かったです。

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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(2007年、アメリカ)

監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ヘレン・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン、エドワード・サンダース、ジェイミー・キャンベル・バウアー
原題:Sweeny Todd: The Demon Barber of Fleet Street
備考:ミュージカル、R-15、ゴールデングローブ賞2部門受賞、アカデミー賞美術賞受賞

あらすじ…無実の罪で妻子を奪われた理髪師の男が、スウィーニ・トッドと名を変えて15年ぶりにロンドンへ戻ってくる。自分を陥れたターピン判事に復讐するために…。

 最初に断わっておきますが、この作品は決して万人受けするものではなく、寧ろ観る者を選びます。
 スウィーニ・トッドが客のノドを切り裂いて殺し、その死体を下階のパイ屋が調理してミートパイにする…って、人肉ミートパイですか! しかも殺しているのは、何の罪もない「よそ者や身寄りのない者」で、復讐とは関係のない人たちです。
 まあ、それだけ狂っているということなのでしょう。観客はこの狂気にしばし付き合わないといけません。

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販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2009/11/18
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チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(2007年、アメリカ)

監督:マイク・ニコルズ
出演:トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス
原題:Charlie Wilson's War
原作:ジョージ・クライル
備考:社会派サスペンス

あらすじ…スキャンダルまみれの下院議員チャーリー・ウィルソンは、後援者の女性から、ソ連軍の侵攻を受けているアフガニスタンの窮状を知る。そこで彼はCIAの諜報員と組んで、アフガンのムジャヒディンに武器を供与してようと各方面に働きかける。

 チャーリーの事務所のスタッフは美女ばかりって…、どう見てもハーレムです。本当にありがとうございました。
 他にも後援者の女性とデキていたり、コカインをやっていたりと、結構腐ってんなあ…。でも、女性スキャンダルならビル・クリントンの方が華やかだし、コカインだったらジョージ・W・ブッシュがいますからねえ。
 それはさておき、彼の仕事ぶりは相当忙しく描かれています。政治力のある政治家はこんなものなのでしょうが、観ているこっちの方はそんなことに慣れていないから軽く混乱してしまいます。

 ちなみに、作品の最後の方で出てくる禅の師匠と少年の話は、日本では中国の故事成語「塞翁が馬(人間万事塞翁が馬)」として知られているものです。

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近況報告

 とりあえず近況報告。今日は午前4時半頃の地震で目が覚めました。寝不足なのですが、コーヒーをガブ飲みしたので眠気はありません。

新宿・無差別殺人予告現場撮影 [JR新宿駅旧新南口ハイウェイバス入口](2010年、日本)

 この動画は、ニコニコ動画で観ました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm13568171

 経緯を簡単に説明しておくと、どこかのバカがインターネット掲示板に、新宿で無差別殺人をするという犯行予告を書き込みました。そして、予告時間の2月11日夜9時に警察が周辺を警戒、野次馬もいっぱい来ているという様子を撮影したものです。おそらく撮影者は野次馬の一人でしょう。
 警戒に当たっていた警察官の皆様、寒い中お疲れ様でした。

吉本隆明『日本近代文学の名作』新潮社

 日本の近代文学24点のレビュー本。尚、本書で取り上げられた「名作」は以下の通り。

・夏目漱石『こころ』
・高村光太郎『道程』
・森鴎外『高瀬舟』
・芥川龍之介『玄鶴山房』
・宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
江戸川乱歩『陰獣』
・横光利一『機械』
・川端康成『雪国』
・保田與重郎『日本の橋』
・吉川英治『宮本武蔵』
・中野重治『歌のわかれ』
・谷崎潤一郎『細雪』
・小林秀雄『無常といふ事』
・坂口安吾『白痴』
・太宰治『斜陽』
・柳田國男『海上の道』
・折口信夫『日琉語族論』
・中原中也『在りし日の歌』
・萩原朔太郎『月に吠える』
・岡本かの子『花は頸し』
・志賀直哉『暗夜行路』
・田山花袋『田舎教師』
・島崎藤村『春』
・二葉亭四迷『平凡』

 このうち、私が読んだことのある作品は「こころ」「玄鶴山房」「銀河鉄道の夜」の3点のみ(本記事投稿時点)。文学マニアにとっては少ないと感じるかもしれないし、それほど本を読まない人よりは多いかもしれません。
 ちなみに「玄鶴山房」は芥川龍之介作品の中ではマイナーな方で、私は中学か高校の頃に一度読んだきりで内容を思い出すのにちょっと時間がかかりました。
 とはいえ、どの作品をレビューするかはレビューする側の自由なので(しかも吉本隆明くらいの大家ともなれば、編集者からの「先生、今回は『○○』を評論してください」という要請にも拒否権を行使できたことでしょう)、それはそれで構いません。

 ところで、夏目漱石『こころ』の、後半の主人公である「先生」と、その友人K、そして下宿先の娘の三角関係について、このようなことを述べています。

 また違う解釈もできる。本当は親友を出し抜いてしまったという問題ではなくて、一緒に下宿していた親友と自分とが同性愛的な親密さを持っていた。それが、たまたま女性の介在を経験して破れる形になってしまったことのほうが主人公にとっては大きなショックだった、という裏の解釈だ。(P19)

 アッー! そうか、言われてみれば先生とKの関係はホモソーシャルだなと気付きました。オスカー・ワイルドやレスリングシリーズなどを通じて同性愛の知識を蓄えた今だからわかるところがあります。

日本近代文学の名作 (新潮文庫) Book 日本近代文学の名作 (新潮文庫)

著者:吉本 隆明
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

皆神龍太郎・石川幹人『トンデモ超能力入門』楽工社

 超能力を研究する学問(超心理学)についての対談。
 あくまで超能力を学問的な立場から捉えようとしているので、ただのオカルト好きが興味本位で読むとつまらないと感じるかもしれません。ちなみに私の場合、アカデミズムの雰囲気を思い出しながら読み進めることができました。

 ところで、本書の中でこんな記述がありました。

生徒 日本だと研究者は3~4人ですけど、世界に広げると結構いるんですか?
石川 世界だと100人くらい。
生徒 少なっ!(笑)
石川 もう少しいるかな。でも200人はいないね。
(P217)

 うわぁ…これは絶滅危惧種ですな。超能力が使えるとのたまう霊能者はもっといますけどね。

トンデモ超能力入門 Book トンデモ超能力入門

著者:皆神 龍太郎,石川 幹人
販売元:楽工社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

春山昇華『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』宝島社

 2007年に世界の金融市場を揺さぶったサブプライムローン問題(サブプライム問題)を解説したもの。
 住宅バブルですか…。日本では90年代に土地バブルが弾けたという経験があるので、アメリカの住宅バブルの狂躁具合がある程度わかります。
 もちろん本書でも、バブルを経験した日本人読者向けに、そこかしこで日本のバブルを引き合いに出しています。アメリカ人と日本人の国民性の違い(P28)や、ローンの証券化(P62)など、異なる点もあるので一緒くたにするわけにはいきませんが、それでも理解の取っ掛かりとしては悪くない。

 ところで、私は本書を読む前に、マイケル・ムーア監督の映画「キャピタリズム」を観ました。う~ん、このドキュメンタリー映画を視聴する前に本書を読んでおけばよかったかもしれません。

サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) Book サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254)

著者:春山 昇華
販売元:宝島社
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実年齢と見た目年齢、ギャップある方?

 子供の頃はありました。背が高く太っていたので、実年齢よりも高く見られることが多かったのです。今はそれほどでもなくなりましたな。

小倉優子のTokyoLocal

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HERO/英雄(2002年、香港・中国)

監督:チャン・イーモウ
出演:ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、ドニー・イェン、チェン・ダオミン
原題:英雄
備考:アクション

あらすじ…戦国時代の中国。秦王のもとに小官吏の無名がおとずれ、三人の刺客(長空、残剣、飛雪)をいかにして討ち取ったのかを語る。だが秦王は無名の嘘を看破する。すると、無名は全く別の物語を語るのであった。

 最初の話(長空との戦い)はグレー、2つ目の話(残剣と飛雪の愛憎劇)は赤、3つ目の話(何だっけ?)は青、4つ目の話は…と、各々の話にはそれぞれカラーが設定されています。
 これらの色使いを見ていると、非現実感をますます高め、おとぎ話の世界のファンタジーのような気がしてきます。
 実際、たった二人で矢の雨を防いだり(守備範囲はどうなっているんだ?)、水の上をピョンピョン飛び跳ねながら戦ったり(これは空想の世界での戦いだが)、それはさすがに…というアクションが次々と繰り出されます。
 まあ、日本の時代劇だって、一本の刀で一度に何人も(予算があれば何十人も!)バッサバッサと斬っていますからね(そもそも日本刀は一度斬ると殺傷力がガタ落ちするという致命的な欠陥がある)。こちらが日本のファンタジーなら、あちらは中国のファンタジー、と解釈することにしましょう。

 それはさておき、疑問点を一つ。刺客を倒したら首を刎ねないのはなぜだろう?

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販売元:レントラックジャパン
発売日:2005/01/28
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キャピタリズム~マネーは踊る~(2009年、アメリカ)

監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア、ソーラ・バーチ、ウィリアム・ブラック、ジミー・カーター、エライジャ・カミングス
備考:ドキュメンタリー

あらすじ…アメリカではサブプライムローンの破綻により、ローンを払えない人たちが次々に家を追い出されていた。アメリカ経済に今、何が起こっているのか? マイケル・ムーアが探り出そうとする。

 デリバティブ(金融派生商品)の説明を聞いている時の、マイケル・ムーアの困惑した表情には笑いました。もちろん、私もデリバティブはわかりませんし、映画の中の説明だけで理解できる人は少ないでしょう。
 それはさておき、今作では企業に対する嫌がらせは控え目のような気がします。どうせならサブプライムローンで家を失った人たちを証券会社に連れてきて何かやらせてみてもよかったのではないでしょうか。

 最後に一言。マイケル・ムーアも老けたなあ(モミアゲに白髪が混じっています)。

キャピタリズム~マネーは踊る プレミアム・エディション [DVD] DVD キャピタリズム~マネーは踊る プレミアム・エディション [DVD]

販売元:ジェネオン・ユニバーサル
発売日:2010/05/26
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著・村山誠一郎、絵・つるみとしゆき『新説 RPG幻想事典 剣と魔法の博物誌』ソフトバンククリエイティブ

 RPGに出てきそうな伝説の武器を紹介したもの。アーサー王伝説のエクスカリバー(P6)や北欧神話のミョルニル(P26)といったメジャー(?)なものがあるかと思えば、アスカロン(P140、聖ゲオルギウスの剣)やエペタム(P160、アイヌ伝承)といったマイナーなものまであります。又、童子切安綱(P112)や正宗(P282)、虎徹(P290)といった和モノも多い。
 ちなみに、副題に「剣と魔法の博物誌」とありますが、本書の主眼は剣を始めとする武器の方であって、魔法はというと、武器に魔法がかけられているので云々といった扱われ方となっています。

新説 RPG幻想事典 剣と魔法の博物誌 Book 新説 RPG幻想事典 剣と魔法の博物誌

著者:村山 誠一郎
販売元:ソフトバンク クリエイティブ
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[o:kun] no.6 December 2010

 新宿で入手しました。
 表紙を飾るのは麻生久美子。P18-19に彼女のインタビュー記事があります。で、インタビュー内容は陶芸と公益財団法人School Aid Japanについて。
 ちなみにP20にはワタミ会長(当時)の渡辺美樹氏の写真が。ああ、この人が都知事選に立候補したのか。これを書いている時点では告示前なので候補者は出揃っておらず、従って予想は全く付かないのですが、少なくとも…いや、ボンヤリした状態で予測するのはやめておきます。

Okun

内藤幹弘『宝石の裏側』新潮社

宝石の裏側 (新潮新書) Book 宝石の裏側 (新潮新書)

著者:内藤 幹弘
販売元:新潮社
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 宝飾業界の舞台裏を、小売業者の視点で語ったもの。
 ちなみに私は宝石を用いた装飾品は持っていませんが、著者の「いったん手に入れた宝飾品の本当の価値は市場での交換価値ではなく、オーナー自身が所有して使用する価値なのです」(P28)という主張には同意します。よって、私自身が「所有して使用する価値」があると判断するまで購入することはない、と明言しておきます。他者へのプレゼントに際しても同様の審査を重ねるつもりです。
 …え? ケチくさい? それも結構! なぜならば、使えるカネには限りがあるし、浪費は私の好むところではないのですから。

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