バタイユ『マダム・エドワルダ/目玉の話』光文社(2)
「マダム・エドワルダ」についてはこちら。今回は「目玉の話」を取り上げます。
・「目玉の話」
少年少女の変態行為の日々を描いたもので、彼らの変態プレイの描写では勃起したことをここに告白します。しかし、さすがに最後の司祭とのくだりではドン引きしてしまいましたが…。
さて、主人公の青年がメルセルを捜し求めて夜の精神病院に潜入するくだり。
小さな懐中電灯をつけて玄関に行き、それから階段を上りました。なにも見分けがつかず、どこへ出たのかも分かりません。部屋にも番号が記されていません。そのうえ何も分からないことに逆上していました。そのため、なぜズボンを脱ぎすて、シャツを着たまま、不安に苛まれながら探検を続けたのか、そのときは自分でもまったく理解できなかったのです。一枚また一枚と服を脱いで、椅子に置き、靴だけは残しました。左手に懐中電灯、右手にリボルバーを持ち、でたらめに歩いていきました。(P64)
ちょっと待て。なぜそこで脱ぐんだ? 川を泳いで渡るというのなら裸になるのもわかるが、ここは精神病院の建物の中。下手をすれば当直の看護士に見つかるかもしれないという状況下ですることではありません。
しかしながら、主人公(とシモーヌ)は変態プレイを後先考えずにやってしまう人間です。服を脱ぐという行為も、変態行為の一環なのだと解釈すれば、彼がこんな行動を取ったのもわからなくもない。世の中にはストリーキングという変態行為がありますから。
そう考えると、シモーヌが裸になっていたのも同じ理由でしょう。
尚、ここで引用した変態描写はまだ慎ましやかな方です。これ以上のものを引用するのは気が引けます。知りたいという人は本作を読むべし。
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マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫) 著者:バタイユ |
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