ポール・ドハティ『教会の悪魔』早川書房
人を殺して教会に逃げ込んだ男が教会の中で首を吊って死んでいた。国王の命を受けて書記ヒュー・コーベットが調査に乗り出す…というのが本書のあらすじですが、ミステリー小説としては時代がとんでもなく古い。
シャーロック・ホームズのヴィクトリア朝やシェイクスピアのエリザベス一世の時代よりも昔で、正確には「一二八四年」(P89, コーベットの報告書より)。日本は鎌倉時代で、二度にわたる蒙古襲来(元寇)を跳ね返したところです。
そんな時代だから指紋捜査なんてハイカラなものはないし、拷問で死者が出てもお咎めなし、などといった調子です。コーヒーもタバコもありません。
ちなみにミステリー小説の楽しみはトリックの解明と犯人探しですが、今回は犯人を当てることが出来ました。詳細はネタバレになるので言いませんが、コーベットが恋に落ちたあたりから「こいつは臭うな」と感じた次第です。
教会の悪魔 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1811) 著者:ポール・ドハティ |
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