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ローズマリー・ティンパリー『新・幻想と怪奇』早川書房(5)

 複数回に分けて送ってきた『新・幻想と怪奇』書評も今回が最後となりました。短篇全てにレビューするというのは大変な作業でしたが(まあ、中にはレビューになっていないとお叱りを受けるような気の抜けた文章もありますが…)、今まで様々な本や映画をレビューしてきた経験が活かされたようで、どうにか書き終えることができました。

リチャード・マシスン「万能人形」(P175-185)
あらすじ:子供のいたずらに手を焼いた芸術家夫妻は、子供の遊び相手にと「万能人形」を買い与えるが…。

 人間と同じように成長するロボットですか。現代の技術ではまだ実現できていませんな。そういえば「鉄腕アトム」のアトムなども成長しないんでしたっけ。

ロバート・ブロック「スクリーンの陰に」(P187-202)
あらすじ:主人公の男はサイレント映画専門の映画館でエキストラ俳優のジミー・ロジャースに出会う。ジミーは、同じくエキストラとして出演していた恋人のジューン・ローガンに逢いに来ていると語る。

 ジューンの手紙が長すぎる件について。「走り書きの手紙」(P200)なら、もっと短くていい。おそらく、あちらの世界を説明して物語の辻褄を合わせるために、そしてジミー以外の読み手にあちらの世界を理解させるためにこうも長々と書かざるをえなかったのではないかと推察いたします。

レイ・ラッセル「射手座」(P203-248)
あらすじ:青年ハントは、老人のグレンキャノン伯爵から、不思議な話を聞く。それは伯爵が昔、パリでセリーグとナヴァルという対照的な俳優と出会い…。

 「ジキルとハイド」「青ひげ(及びそのモデルとなったジル・ド・レ)」「切り裂きジャック」を盛り込んだ贅沢な短篇。落語の三題話みたいです。

ローズマリー・ティンパリー「レイチェルとサイモン」(P249-264)
あらすじ:ジョン・パーソンズは下の階に住むアンジェラ・フランシスに恋をする。彼女はレイチェルとサイモンという二人の子供と暮らしていると言うが…。

 ジョンを襲った最後の結末は、外的に見れば「狂気が感染した」と言えるでしょう。内的に見れば、「ジョンは彼女を理解した」ということでしょうか。

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著者:ローズマリー・ティンパリー他
販売元:早川書房
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