トーマス・マン『ヴェネツィアに死す』光文社
真面目な老作家が旅先のヴェネツィア(ヴェニス)で14歳の美少年に恋をし、破滅へと向かう…というショタホモ小説。ただし、ショタホモ小説といっても肛門性交などは一切なく、しかも主人公(アッシェンバッハ)と少年(タッジオ)は言葉を交わすことすらしないまま物語は幕を閉じています。
え? 物足りない? 『くそみそテクニック』や『ガチムチパンツレスリング』を知っている現代人なら満足できないかもしれませんが、そもそも本作が発表されたのが1912年ということを考慮に入れないといけません。当時のヨーロッパ社会では同性愛差別が強く、同性愛が発覚したら社会的地位を失う破目に陥ったことでしょう。
そういう危うさの中での恋ですからね、命がけですな。
ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫) 著者:トーマス マン |
« ガーディアン ハンニバル戦記(2006年、イギリス) | トップページ | ポール・ドハティ『教会の悪魔』早川書房 »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(6)ボズワースの戦い(2024.06.06)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(5)第二の求婚(2024.06.05)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(4)処刑と暗殺(2024.06.04)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(3)アン・ネヴィルへの求婚(2024.06.03)
- 福田恒存訳『リチャード三世』新潮社(2)クラレンス公ジョージ(2024.06.02)
« ガーディアン ハンニバル戦記(2006年、イギリス) | トップページ | ポール・ドハティ『教会の悪魔』早川書房 »
コメント