モーリス・ルブラン『怪盗紳士ルパン』早川書房
「アルセーヌ・ルパンの逮捕」「王妃の首飾り」「ハートの7」「黒真珠」など短篇9本を収録したもの。
その中の「遅かりしシャーロック・ホームズ」(P285)では名探偵シャーロック・ホームズが登場しますが、ここではルパンのかませ犬になっています(シャーロッキアンにはさぞ不本意なことでしょう!)。
ホームズはルパンを捕まえられないのみならず、懐中時計を盗まれ、更に依頼人のもとへ来た時には既にルパンは仕事を終えた後だったのです。一応、ティベルメニル城の秘密の地下通路の謎解きはするものの、それはルパンがわざわざ置いていった手がかり(2つの『年代記』)を使ってのものだし、そもそもルパンは既に謎を解いた後でした。
助手のワトスン医師が同行していなかったから、本来の力を発揮できなかったんでしょうかねえ。
だけど、作家の立場になって考えてみれば、シャーロック・ホームズばりの名推理なんてなかなか書けるものではありません。観察力のみならず、そこから推理を展開する論理的思考が要求されるからです。
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怪盗紳士ルパン (ハヤカワ文庫 HM) 著者:モーリス・ルブラン |
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