加藤紘一『テロルの真犯人』講談社
2006年8月15日、加藤紘一衆議院議員の自宅兼事務所に、右翼団体幹部の65歳男性が放火するという事件が起きました。
もちろん犯人はこの右翼団体の老幹部なのですが、加藤氏は考察を重ねて、その背後に「真犯人」を見出そうとしています。
私には、彼もまた、この時代が生んだ犠牲者だと思えてならないのだ。彼にも、もっといい人生、もっといい老後を歩めるようにするのが、私たち政治家の仕事であると思う。
ここで私がいいたいのは、この六五歳の老右翼活動家に対する怒りではない。
非難すべきは彼を過激な行動に駆り立てた世の中の空気――過度にナショナリズムを沸き立たせようとする最近の風潮や政治的な流れである。(P28)
ところで、加藤氏は親中派の政治家だけあって、本書でも中国に関する記述は多い。もちろん、親中派だからチベットやウイグルには一切言及していませんけど。
で、本書の中でこんな一節を発見しました。
しかしその一方では天安門事件なども起きて、理解できない中国の一面も依然として残っている。(P55)
なんと、東大法学部卒で外務省のチャイナスクール出身の加藤紘一代議士の頭脳をもってしても、天安門事件は理解できませんか! あ、ちなみに凡愚の私は天安門事件を、現代中国における、文化大革命に次ぐ黒歴史(※)だと「理解」していますよ~。
※黒歴史…他人からは触れられたくない、寧ろ消し去ってしまいたいくらい恥ずかしい過去のこと。
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