三島由紀夫『サド侯爵夫人・わが友ヒットラー』新潮社
三島由紀夫の戯曲「サド侯爵夫人」と「わが友ヒットラー」を収録した文庫本。
「わが友ヒットラー」は男社会の政治劇であるから男しか出てこないのはいいとして(ほんの付け足しのチョイ役として、誰ぞの奥方を登場させることは可能だったかもしれない)、「サド侯爵夫人」は女しか登場しない。のみならず、話題の中心となるサド侯爵さえも舞台には登場せず、もっぱら女たちの会話の中だけで描かれます。思い切ったことをしたものですなあ。
ともあれ、女だらけの「サド侯爵夫人」と男だらけの「わが友ヒットラー」。この両作品は一対のものであると、この新潮文庫は主張しているようです。
ちなみに、「わが友ヒットラー」の題材となったレーム事件(長いナイフの夜事件)についてはこちらを参照されたし(wiki)。
« Highway Walker 東日本 2010.9 | トップページ | 株主優待ガイド2010年版 »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 太宰治「道化の華」(2020.10.17)
- 太宰治「地球図」(2020.10.16)
- 太宰治「葉」(2020.10.15)
- 松岡和子訳『ヘンリー八世 シェイクスピア全集31』筑摩書房(2020.10.14)
- 「笑う石像」(超・怖い話ガム)(2020.07.10)
コメント