柘植久慶『中国大崩壊 世界恐慌のシナリオ』学研
著者はフランス外人部隊出身だけあって、軍事の知識が豊富です。それを用いて北京五輪や上海万博などを狙ったテロ計画を具体的に述べています。例えば本書のP19-23んいよると国家体育場(通称:鳥の巣)を攻撃する方法としてM-1943の120ミリ迫撃砲、武器を設置する場所として五環路の北側の森林公園、といった具合です。
念のために言っておくと、著者がテロをやっているわけではなく、テロリストがどんな行動に出るかシミュレーションして見せているわけです。こういうことは、危機管理の上では欠かすことができません。
さて、本書には中国に関するエピソードが色々と収録されているのですが、その中でも秀逸なネタを一つ紹介します。それは、著者がアフリカで傭兵をやっていた時のこと。
それはタンガニーカ湖の対岸――タンガニーカのキゴマに中国人がいて、その呪文をかけた軍隊は不滅との話だった。現地人の兵士たちは、敵は不死身の中国人が一緒だから、彼らと戦いたくないと怖気づく。(P163)
不死身の中国人とは笑止千万。まともな中国人でも、自分が不死身だとは思っていないのに。
私はこんなところまで中国人が来ているなんて冗談だ、ぐらいにしか考えていなかったのである。ところが敵から押収した文書を渡されて愕然とした。漢字――しかも中国語でのものが一部分、混在していたのだ。
そこには「私を中国人にしてください」との申請書があった。中国人になると不死身になれるから、共産主義の影響が強いタンガニーカ軍の軍人たちが、競ってそんな志願をしたのだから笑いがこみ上げて止まらなかった。(P164)
はい、私も笑わせていただきました。こんな迷信まがいのウソはすぐにバレる(中国人だって死ぬ時は死ぬ)から、それはそれで滑稽ですな。
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中国大崩壊―世界恐慌のシナリオ 著者:柘植 久慶 |
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