桐生操『世界史ミステリー 秘密結社の暗躍』小学館
本書で取り上げられているものの中で、慈善カルメル会(P12)、東方聖堂騎士団(P66)、人民寺院(P117)といったあたりは秘密結社というより寧ろカルト教団といった方がいい。もちろん、サッグ団(P42)やクー・クラックス・クラン(P134)は秘密結社と呼ぶにふさわしいのですが。
で、本書のフィナーレを飾るのがフリーメーソン(P177)。このテの本では外せない「定番」です。
しかもフリーメーソンに関する記述では、「~という。」といった、根拠不明の伝聞情報があり、怪しさが満載です。
「結社の真の姿は、現在でも少数のエリート会員しか知らないという」(P177)
「ところでフリーメーソンの最終目的は、世界政府と世界宗教の樹立だという」(P192)
「そしてゴルバチョフは共産主義者でありながら、じつはフリーメーソンと協力関係を結んでいるのだという」(P197-198)
情報のソースが不明であれば信憑性は損なわれるし、諸事情によりソースを明かせないのであればクロスチェックで裏付けを取っておいた方がいいでしょう。とはいえ、フリーメーソンから怪しげな情報を取り去ってしまったら、陰謀論好きの読者は納得しない、つまらない記述になっていたかもしれませんな。
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秘密結社の暗躍―世界史ミステリー (小学館文庫) 著者:桐生 操 |
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