八重野充弘『埋蔵金伝説を歩く ボクはトレジャーハンター』角川学芸出版
本書に引用されている畠山清行氏の手紙によれば、著者は「レジャー半分」(P61)で宝探しをやっており、全財産をつぎ込んで埋蔵金探しに熱中している人たちに較べれば一歩も二歩も引いて見ることができるから、その分「常識的」なのでしょう。
例えば本書では何十メートルも地中深く掘る例が出てきますが、それに対して著者はこう述べています。
ぼくはよく埋蔵金を掘る深さについて聞かれることがあり、いつも「ズバリ、五、六メートルがメド」と答えることにしている。秘密裏に埋蔵工事をやるためには、さほど人数を動員できないこと、いざというときには速やかに掘り出さなければならないこと、そして、昔の道具と技術を考慮すれば、どんなに大規模な工事をしていたとしても、それくらいが限度だ。(P180)
この他にも、埋蔵金伝説に熱中している人の頭を冷やすような分析をしているので、埋蔵金に興味のある人は参考にしておいた方がいいでしょう。とはいえ、著者自身も埋蔵金伝説の夢とロマンに取り憑かれているんですけどね。
…え? 私ですか? 私は徳川埋蔵金みたいなご大層な財宝を掘り当ててやろうなんて気はありませんよ。寧ろ、どうせ掘り当てるなら長屋王木簡のような史料的価値の高いものの方がいい。学術的探究心を満たせますから。
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埋蔵金伝説を歩く―ボクはトレジャーハンター (角川地球人BOOKS) 著者:八重野 充弘 |
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